小田原救急隊がミス 搬送患者が死亡

 小田原市消防本部は9日、救急隊が心肺停止の患者を医療機関に搬送する際、薬剤を患者宅に置き忘れ、車内で投与できないミスがあったと発表した。患者は医療機関到着後、死亡が確認された。同本部は、薬剤投与の未実施と死亡との因果関係は不明としている。

 同本部によると、8日午後2時35分ごろの119番通報で南足柄市内の男性(79)宅に到着した救急隊は、男性が心肺停止状態と確認し心臓マッサージなどの救命処置を実施。搬送予定先の医療機関の医師から気道と静脈路を確保した上での薬剤投与を指示されたが、静脈路が確保できないまま男性宅を出発した。搬送中に静脈路を確保できたため薬剤投与をしようとしたところ、薬剤が入った救急バッグを男性宅に置き忘れたことに気付いた。

 男性は同3時5分ごろ医療機関に到着、同4時半ごろ死亡が確認された。静脈路確保から医療機関到着までの約13分間、薬剤は投与されず、現場での救命処置を含め蘇生することはなかったという。

 同本部は男性宅を出発時に資機材の最終確認を怠ったことが原因とした上で、「薬剤を投与できなかったことと死亡との因果関係は不明」と説明。再発防止に向け、チェックリストなどの対応を検討するとしている。

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