県民、広島に誇り/鞆・防災・教育に力 就任10年、湯崎知事に聞く

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「県民が、広島に対する誇りや自信をより強く持つようになった」と手応えを語る湯崎知事

 就任10年を迎えた広島県の湯崎英彦知事が9日、中国新聞のインタビューに応じた。これまでの県政運営で「県民が、広島に対する誇りや自信をより強く持つようになった」と強調。埋め立て・架橋計画を撤回した福山市鞆町でのまちづくりや、大規模災害から県民の命を守る取り組みなどに注力する考えを示した。(村田拓也)

 ―この10年間で何が一番変化したと感じますか。

 私だけの印象かもしれないが、県民の皆さんが、広島に対する誇りや自信をより強く持つようになったと感じている。背景には外からの評価の高まりがある。例えば外国人観光客が増え、瀬戸内の知名度も世界で上がってきた。

 誇りや自信を持つことは幸せ感につながり、新しいことにチャレンジする原動力となる。2009年11月の就任前から「広島の底力を引き出す」と掲げていた。就任がリーマン・ショックの直後だった影響もあるかもしれないが、広島の元気さは大きく変わった。

 ―県政運営の軸足が移り変わっていると映ります。

 広島のように大きな県では、変化を生むためには時間がかかる。例えば人づくりでは、社会全体へのインパクトでは劣っても、即効性の見込める短期的なものから着手した。今は「学びの変革」や乳幼児教育の充実など、教育の提供側の進化に力を入れている。

 ―最大の政治決断に、福山市の鞆港埋め立て・架橋計画の撤回がありました。

 原点に立ち返り、推進派と反対派が参加する住民協議会で、架橋で解決するべき課題を相当議論した。生活の利便性や安全の確保、景観保全などを満たす手段として、バランス良く調和を図ることができる解決策はトンネル案だと考え、方針を転換した。

 ―トンネルの整備を今後どう進めますか。

 景観に配慮しなければならないし、住民にも使いやすいものにしていく必要がある。今、最終的な詰めをしているが、可能な限り早く着手したい。

 ―14年の広島土砂災害や18年の西日本豪雨では、多くの犠牲者が出ました。

 災害で命が失われるのは非常に残念だ。ハード整備は進めるが、命を守るためにはあらゆる事態を考え、避難していただくことが非常に重要だとみている。

 ―ただ、今年の台風などを見ても、早めの避難が定着したとは映りません。

 避難で重要なのは、集団心理というか、周囲が避難すると自分も避難するということが見えてきた。誰かが率先する環境をどうつくるかが鍵で、来年の梅雨時期までに対策を打ち出す。

 ―2年後の知事選の対応は。4期目の善しあしをどう考えますか。

 現時点では全く分からない。これは本当に掛け値なく分からない。長く務める場合、県庁のみんなの頭がある意味、同じ色に染まってくる。発想力や多様性をどう確保するかが課題だ。