子を思う亡き妻の遺志 託したい 遺産800万円を寄付

宇都宮の桜井さん、社会福祉基金に

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佐藤市長(右)に寄付金の目録を手渡した桜井さん

 【宇都宮】果たせなかった妻の思いを託したい-。南高砂町、桜井博康(さくらいひろやす)さん(87)はこのほど、5月に92歳で亡くなった妻初子(はつこ)さんの遺産800万円を市社会福祉基金に寄付した。生前は親元で暮らせない子どもなどの支援を考えていたという初子さん。桜井さんは「子どもに愛情を持っていた妻の願いをかなえたかった」と振り返った。

 初子さんは、かねて虐待など子どもが被害に遭う事件の報道を見るたびに心を痛め、子どもや里親の力になりたいと考えていたという。児童養護施設などへの寄付を検討していたが、特定の施設だけでなく広く社会福祉に役立ててもらいたいという思いがあり、寄付先を決められずにいた。

 2人は約17年前まで南高砂町でインテリアショップを経営。寄付金には夫婦で地道に積み立てた貯金も含まれている。金額は子ども1人にかかる教育費などを想定し、店を閉める前から2人で話し合って決めたという。

 しかし、初子さんは思いを果たせぬまま他界。「何とか妻の遺志を伝えよう」と考えていた桜井さんは10月、市に相談。子どもや高齢者、障害者などの支援に活用する基金の趣旨に賛同し、寄付を決めた。

 市役所で佐藤栄一(さとうえいいち)市長に目録を手渡した桜井さん。「世のため人のために役立ててほしい。これで救われる人がいれば妻も私も、心が休まります」と今は亡き妻に思いを寄せた。