地方選挙は無所属候補がめっちゃ多い理由とは? 党名を隠す・隠さないも戦略のうち? #選挙ドットコムちゃんねる 第4回

第4回の選挙ドットコムちゃんねるは、101歳で亡くなった中曽根康弘元総理の話題からスタートしました。
選挙プランナーの松田さんが「一度お目にかかりたかった」と惜しむ伝説の政治家、中曽根氏とはどんな政治家だったのでしょうか。

さらに、最新の選挙について取り上げる「選トピ」では3つのテーマを取り上げます。
ではさっそく番組の様子を、ダイジェストでお届けします!

三公社を民営化、日本の世界的地位UPを見事に演出した中曽根氏永眠

今回は、中曽根康弘元総理が101歳で亡くなられたという話題から、番組スタート。

松田 「中曽根さんは、僕が物心ついた小学生のころに、総理大臣だった人。
クラスメートに中曽根君って子がいたんですが、あだ名は『総理』だったなあ(笑)」

乙武 「小学生のあだ名あるあるだよね!」

松田 「選挙に関わる仕事についた僕としては、1度お会いしてみたかったですね」

千葉 「私たちの世代は、政治家としての中曽根さんのお姿の記憶はないですが、お名前は聞いたことがあります。有名な総理大臣ですよね」

松田 「今は息子さんもお孫さんも国会議員ですからね」

乙武 「中曽根さんの功績としてはやはり、三公社(現在のNTT、JR、JT)を民営化したことですかね。これは相当な政治力がないと、なかなか実現できることじゃないですよね」

松田 「今に至る構造改革とか、いわゆるリストラとか、そういうものの先駆けでもありますね。
あとはアメリカとの関係で『ロン・ヤス』という当時のドナルド・レーガン大統領とファーストネームで呼び合って、日米関係を強固なものにしました。
また、日本の世界的地位が上がっていっていることを、非常にうまく演出された政治家でもあります。
国際会議などの場で世界の首脳と並ぶ時、中曽根さんは中心にいるレーガン氏の隣に並んで映りました。それまで日本の総理はいつも端っこにいたのが、世界のリーダー的存在のアメリカ大統領の隣に堂々と並ぶ様子が、当時の日本国民を非常に喜ばせた。背が高くて、海外の方と並んでも見劣りしない堂々とした姿でね。

あとは選挙に関わる人間からすると、やはり選挙にお強い政治家というイメージが非常に強いですね。
この夏、参院選が行われましたが、その前は衆参同日選挙になりましたよね。
そのとき1番参考にされたのが1986年の衆参同日選挙で、これを自民党の圧勝に導いたのが中曽根さんなんですよ」

ここで松田さんが、20代でアシスタントの千葉さんにクイズを出題。

松田 「中曽根さんが活躍していた当時『三角大福中』という言葉があったんですが、これ何と読むかわかりますか? そして何を指している言葉でしょうか?」

クイズの答えは、動画でご確認ください。

中曽根元総理の逸話から、N国やオリーブの木などの候補者も当選した市議選まで検証!小金井市長選挙の混戦模様も解説する今週の選挙トピックス!|第4回 選挙ドットコムちゃんねる #1>

 

MC乙武氏のスポーツライター魂ほとばしる「所属『オリ』って、オリックス?」発言に、スタジオどよめく

次のコーナーは、最近の選挙に関するトピックスを独自の視点で紹介する「選トピ」です。
まずは、先日行われた上尾市、朝霞市での市議選の結果から。

千葉 「上尾市議選では定数30に対し、41人が立候補され、朝霞市議選では定数24に26人が立候補しました。当選結果はこうなっています(フリップを提示)」

乙武 「え、このオリって何? オリックス?」(爆笑)

松田 「さすがスポーツライター。オリックスって読めちゃいました?(笑)」

乙武 「え、あとなんのオリがあんの?」

松田 「これは『オリーブの木』という政治団体の略称ですね。まだ国政政党ではないんですけど」

乙武 「オリーブの木って言うと、一時期小沢さんが『オリーブの木構想』っていってたけど、あれとは別物ですか?」

松田 「それとはまた別ですね。オリーブの木自体は野党が連合体になって、統一の名簿を作って選挙に臨むという、たしかイタリアの選挙でやられた手法なんですが、その事例から野党が結集する構想として小沢さんが話されたのが『オリーブの木構想』です。

でもそれとはまた別の話で『オリーブの木』という政治団体を立ち上げられたのが、党首の黒川氏を中心とする方々です。
参院選でも10人の候補者を擁立されましたが、議席をとるまでにはいたりませんでした。
でもN国の手法をうまく活用されているのというか、党首の黒川さんがYoutuberの形で、非常にたくさんの動画をあげておられて、一定数の視聴者、チャンネル登録数をお持ちなんです。

今回の上尾市議選では女性の公認候補を1人たてて、その方もたくさん動画をあげておられたんですけど、見事に議席を獲得しました」

乙武 「じゃあ今後もちょっと要注目の政治団体なんですね」

松田 「上尾市のように、定数が30とか非常に多い所を大選挙区というんです。
こういうところにN国とかオリーブの木とかのような小政党・小政治団体が、ちょっととがった主張やキャラ立て(Youtuberとして活動するなど)で、わかりやすくアピールすると、投票する人のうち、30人に1人が票を入れてくれたら当選できる大選挙区の場合は、当選しやすいんです。

こうやって確実に議席を獲得する戦略というのは、今後地方選挙ではやるかもしれないですね」

乙武 「N国で言う『NHKをぶっ壊す! スクランブル放送実現』みたいな、オリーブの木の主張はなんですか?」

松田 「なんなんですかね。参院選のときはいろいろ経済政策的にも特徴的なベーシックインカムとかだったかな、いろいろ出されていたんですが」

乙武 「N国ほどビビッドには打ち出せていない感じですかね?」

松田 「政策的にもある程度、政治玄人というかいろいろと、今までの政党ではできなかったようなことを言っています。消費税減税だったり、アメリカとの関係性については対米自立みたいなスタンスをとるとか、幅広い分野で政策を打ち出して。
1イシューではなくて、経済政策や安全保障政策など、しっかり政策を練っていますね」

乙武 「政界の大ベテランの小林興起さんも関わっていらっしゃるということですもんね。そういう意味では政治的なプロフェッショナルもしっかり支えている団体だってことですね」

松田 「今後どのくらい勢力を伸ばしてくるか注目ですね。候補者を何人くらい擁立できるかっていうところも含めてね」

乙武 「ちなみに党首の黒川さん、Youtuber的な活動もされているということですが、どのくらいチャンネル登録者がいるんですか?」

松田 「えーと、現時点で13万……13万2千人ですね」
乙武 「すごいなそりゃ! 僕ら完敗ですね」
松田 「ですね(笑)」
乙武 「がんばろーっ!」
千葉 「ということでみなさま、チャンネル登録、よろしくお願いします」

地方選で消える自民党候補者。党名を隠すカメレオン候補、アピールする候補、それぞれ勝つための戦略アリ?

松田 「ところでこの上尾市議選、朝霞市議選結果のフリップには、どの党派が何人当選したかが出ているんですけど、どうですか? 乙武さんがみた印象として」

乙武 「まずは共産が強いなあという印象かな。上尾は公明5、共産5でしょ。国政政党での勢力図から言うと、1人当選の立憲と5人当選の共産が逆でもおかしくないくらいなのに。

あれ………? 自民はどこにあるんですか? 無所属がそれぞれ16と12あるけど……」

松田 「自民は無所属の中にね、入っています。上尾だと自民推薦が4人。でも公認候補は立てていないですね」

千葉 「公認と推薦の違いって何なんですか?」

松田 「そこも一般の方にはわかりにくいですよね。でもそれはまた今度、ゆっくり時間をかけて解説していきますね。まためっちゃ話が長くなっちゃうと思うけど(笑)」

乙武 「今僕が一番聞きたいのはね、なんで自民党推薦とか公認とか名乗らずに、無所属の形をとるのかってことなんです」

松田 「これはまず国政と地方の政治では、議院内閣制と二元代表制という大きな違いがあるというところに理由があります」

国政では、選挙された議員で組織された国会が指名する内閣総理大事大臣が、内閣を組織して国会に対して責任を負う「議院内閣制」をとっている。これに対し、地方自治では首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ「二元代表制」をとっている。

松田 「つまり、二元代表制の地方の議会の場合では、政党に所属している必要は基本的にないんです。
その中で選挙をするとき、地方選挙はやはり地域の代表という側面が大きいわけです。
お住いの地域で、自治会の推薦を受けて立候補というのが、一番オーソドックスな形になります。

その自治会に住んでいる方には、たとえば自民党支持じゃない方もいるわけで、地域の票をまとめようと思うと、むしろ無所属のほうが都合がいいんですね。

ただまあ国政選挙の時は、自民党候補を応援しますよ、というような形ですね。
そういうわけで選挙に有利だから、無所属を選んでいる方が多いと思いますよ?」

乙武 「それはほとんど自民党の候補者の人の場合ですよね。なんでほかの政党は表向き無所属の形をとらないんですか?」

松田 「それはまた先ほどお話しした大選挙区での戦い方のひとつなんです。
実際に投票される有権者のうち、30人に1人が自分に投票してくれたら上尾市の場合、当選になりますよね。

となると、各政党には支持者が一定数いますから、その方たちに対して公認候補をアピールする。
公認候補になれば、投票所の記載台(投票用紙に名前を記入する台)に、立候補者の一覧が貼ってありますけど、そこに政党名と候補者の名前が両方、併記されるんです。

そうすると『この人(立候補者)個人のことはよくしらないけど、自分は○○党支持だから』って○○党の政党支持層が投票してくれる確率が高まるわけです。
それで当選ラインを超えられるとなれば、別にそれでいいわけですよ」

乙武 「じゃあ、自分がどういう立場・状況によって、所属政党を名乗ったほうがトクなのか、無所属ってことにして政党名を名乗らないほうがトクなのか、変わってくるということですね」

松田 「よくあるのが、地元にすでに現職がいて、地元の推薦は現職についていると。
自分には地元の推薦が取れないとすると、市のほかの地域から票を取ってこなくてはならない。そういうときは市内に住んでいる特定の政党の支持者を狙って、公認を受けたほうが有利とか。

もうひとつはね、千葉ちゃんなんかでいうと、やっぱり無所属のほうが印象いい感じですか?
わりと一般の方には、そういう人が多いのも、無所属を名乗る立候補者が多い理由なんですが」

千葉 「まぁなんか、応援したくはなりますよね。『無所属ってことは誰もバックにいないんだ、がんばってねー』って気持ちにはなっちゃうかもしれません」

乙武 「でもそういうの、べりべりっと服をはがすとさ、背中に自民党って書いてあるわけですよね」(爆笑)

松田 「ま、まあ自民党に限らず、無所属推薦(無所属で出馬するが、どこかの党派の推薦は受ける。この場合、投票所の記載台の立候補者一覧には党名は表示されない)みたいな方も、います。公明党と共産党は、基本的には公認候補しかいないと思いますけど、立憲、維新、自民あたりは無所属推薦って言うのが、一定数いるかなーって感じですね」

プロでも結果が読みにくい、大混戦模様の小金井市長選の行方は?

乙武 「じゃあ今度は、これから行われる注目選挙、いってみましょうか」

千葉 「前回も触れましたが、小金井市長選ですね。
現職に新人三人が挑む構図で、前回は3つに票が分かれて激戦だったんでしたね」

乙武 「今回は、前回当選した現職の西岡さんに3人の新人が挑むんだよね。
たしか現職とはいえ、西岡さんは盤石ではない、という感じだった」

松田 「現職西岡さんに関しては、普通2期目にこれだけ有力な新人が出てくるっていうのがそもそも珍しいんです。
かわのさんは自民・公明・東京維新の会推薦ということなので、西岡さんは自公と議会では対立しているということになります。議会運営でも苦労されている現職、というわけです。

しかも共産党も候補者を立てている。さらにN国の立花代表も出ていると…」

乙武 「また?」
松田 「またですね」
乙武 「元気ですね」
松田 「ご本人は『出続ける』とおっしゃってますからね」

乙武 「これ共産党の森戸さんがもし出なかったら、西岡さんが有利なのかなって感じがしますけど、森戸さんが出てくることによって票が分かれて、かわのさんの目も出てくるってこと?」

松田 「そこがすごく難しいんですよね。
注目しているポイントとしては、普通は高知市長選のときもいいましたが、現職に対して新人がたくさん出ると、現職に対する批判票が割れると。それで現職が有利になるのが一般的なんです。

でも西岡さんは元々民主系の方なんです。つまり野党側。
それに対してかわのさんは自公と東京維新の推薦があるから、いわゆる与党になるわけですけど、ここで森戸さんは共産系です。
もし森戸さんが出ていなければ、かわのさんに共産党支持の方が票を入れるのか、それとも西岡さんに入れるのか、けっこうわからないんですよね。

自公が支持している候補に、共産支持の人が票を入れるっていうのはたぶん抵抗があるので、森戸さんが出ないほうが、たぶん西岡さんは有利だったのではないかという見方もできます。

だから現職批判で割れるのが、自・公 VS 非自公という割れ方なのかどうか……、そこにN国の立花さんも入ってきてどの程度票をとるのか。
立花さんはたぶん、10%行かないと思いますけど、そのあたりでもね、混戦模様ですね」

玉木氏の神対応に、MC乙武、立候補に傾く

千葉 「では次の話題です。桜散る? 永田町で1月解散説が……」
乙武 「あれ? いよいよ解散? まぁぼくこれ完全に外れましたけどね」
11月最終週に解散って予想したから。
49万円、総取りを狙いに行ったんだけど(笑)」

千葉 「乙武さんはこの前、国民民主党の玉木さんにインタビューに行かれたんですよね。ちょうど選挙のお話もされてましたよね」

松田 「見ましたよ、おもしろかったです」

乙武 「インタビューしに行ったら、逆に口説かれちゃった。国民民主党から出てよって。いや、出ないけど。玉木さん、すごくいい人だからさ」
松田 「玉木さん、いい方そうな雰囲気が動画にも出てました」

乙武 「そう、めっちゃいいスーツ着てたんですよ、どうみても品がいいだろってやつ。
なのに、この番組のTシャツ持っていったら、あっさり『着るよ、着るよ』って、でかでかと『選挙ドットコムちゃんねる』って書いたTシャツ着てくださって」

松田 「乙武さんがスーツで、玉木さんがTシャツという」
乙武 「謎の構図」
松田 「面白い絵面だなあと思ってみてましたよ(笑)。
その中で、玉木さんは1月に解散して2月に総選挙っておっしゃっていましたけど。やはりそういう説が少し出てきていると」
乙武 「どうなんですかね?」

松田 「可能性はないとはいえないですね」
乙武 「桜を見る会の件が、収束しそうでしないもんね」

松田 「そうですね、安倍総理が答弁に立って、疑惑に対して説明をしたと。これで幕引きだという風に与党の関係者は一生懸命に言ってますね。
データもないし、本人もちゃんと説明責任を果たしたと。
これ以上、追及されないといってはいるんですけど、実際、招待客の名簿のデータがサーバに残ってないのかとか、木村草太さんなどは、じゃあ郵送を頼んだ業者のところに名簿があるんじゃないかとツイートされてましたね」

乙武 「あーなるほどね」
松田 「いろいろ名簿が出てくる、出てこないみたいなところでもう少し引っ張るのか、ここで収束するのか……」

千葉 「玉木さんがおっしゃってましたけど、1月に予算の枠組みを決める、っていう大きな節目があるので、そこで区切りがつきやすいと。
でも年が明けたら、すぐにオリンピックも始まっちゃうので、選挙に集中して大丈夫なのかな。
ちゃんとオリンピックのこともやってほしいですよね」

松田 「だからオリンピックからなるべくはなして1月召集の通常国会でもう冒頭、1月6日の正月休み明けに招集してすぐ解散、みたいな話もありますね。
やっぱりオリンピックに影響が出るとまずいから、やるんなら早いうちに、みたいな」

乙武 「都知事選との同日選挙はない?」
松田 「いやそれも可能性はありますけども」
千葉 「実際、49万円争奪の解散・投票日予測キャンペーンでも、都知事選と同じ日、と予想してくださった方がいましたね」

乙武 「予断は許さないってことですね。まあ今日(12月3日)でキャンペーンはしめきっちゃったけど」
千葉 「応募が、そこまで多くなかったので、応募された方は大金ゲットのチャンスです!」
松田 「選挙の予想するなんて、しかもお金もらえるキャンペーンでやるなんて不謹慎だと感じる方もいるかもしれないですが、ぜひこの機会に解散とか総選挙とか、その時期とかいったことにも関心を持っていただきたいという企画ですからね」

乙武 「もし全員外れたら、賞金は僕らのギャラに回るんで!」(笑)
松田 「え、そうなの? だったら外れたほうがいいか」(爆笑)

ふたりの悪乗りトークで番組は幕を閉じましたが、当選者がいなかった場合は、賞金を次のキャンペーンに上乗せするそうですので、どうぞご安心を!

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