糖尿病治療を遠隔で指導 広島大大学院チーム

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広島大霞キャンパスの拠点で事業開始の準備を進める米田医師(手前右)たち

 糖尿病の専門医が少ない地域の患者に、広島大大学院の専門チームが生活習慣の改善方法を助言する遠隔医療のモデル事業が、近く本格化する。患者の食習慣や血糖値などのデータをインターネット上に集積し、一人一人に適した食事や運動法を指導する。将来的には人工知能(AI)を使った個別の指導プランづくりを目指す。

 広島県との共同事業で、同大大学院医系科学研究科が同大霞キャンパス(広島市南区)に遠隔医療の拠点を設置。専門チームは専門医や栄養士、理学療法士たち6人で構成する。まず三原市医師会病院、府中市民病院、安芸太田病院の3病院と連携して開始。県内全域に広げる手法を確立する。

 事業では、患者の情報をインターネットのクラウド上に集める。患者は日々の食事をスマートフォンで撮影し、専用アプリで送信。データを自動送信できる血圧計や体組成計も毎日使う。病院は患者の歩行速度や握力を測り、血液検査の結果、薬の処方状況などのデータとともに送る。

 専門チームは、データを踏まえて食事・運動療法のプランを作成。病院に伝え、患者本人にも電話で指導する。集まったデータはAIによる解析を進め、患者の状態に応じた提案内容をパターン化していく。2022年度をめどにAIによる指導プランの提供開始を目指している。

 モデル事業を実施する背景には、高齢化により糖尿病患者が増加する一方、専門医が足りない実情がある。県内の糖尿病患者は予備軍を含めて約45万人いると推計されるが、県内の学会認定の専門医はわずか95人。偏在も目立ち、専門医がゼロの地域もある。専門チームは今回の事業で、対象病院に赴いて医療スタッフへの指導にも力を入れる。

 県は19年度、人件費として679万円を補助する。専門チームを率いる同大大学院教授の米田真康医師(45)は「食事、運動療法は治療の基本だが、専門的な知識が必要。県内どこでも診療の質を確保できるよう、専門医のいない地域を支援できる仕組みをつくりたい」と話す。