選挙にまつわる都市伝説の真相に迫る! 「不正選挙って ホントにあるの?」 #選挙ドットコムちゃんねる 第4回

今回の選挙ドットコムちゃんねるのテーマは「不正選挙ってホントにあるの?」。
ネット上の都市伝説としてまことしやかにささやかれている「実は投票結果は、謎の組織によって操作されてされている」という説は、果たして本当なのでしょうか?

選挙情報をお届けしている選挙ドットコムちゃんねるが扱うテーマの中では、かなりバラエティ番組っぽいというか、キワモノ風なテーマではありますが、こうした選挙にまつわる怪聞にも、大真面目に真っ向から取り組むのが、選挙ドットコムちゃんねるのプライド。

ところが番組中に、背景が何度もはがれるなど、なぜか番組の雰囲気もあれこれ波乱・トラブル含み。
まさか、不正選挙を取り仕切る謎の組織の「そこに触れるな!」というメッセージ

そのダイジェストを、お送りします。
知らなかった事実がいっぱいで、選挙ビギナーには目からウロコの内容なので、見ないと損!です。

「不正選挙」の一般的定義は、開票段階で実際に投じられた票を操作すること

千葉 「今回取り上げるのは、不正選挙です」
乙武 「そもそもさ、不正選挙って定義とかあるの?」

松田 「いや、はっきりした定義はなくて、人によってなにを指しているかはかなり違うんですけど。
ネットでいわれている陰謀論的なものは、選挙の票を集計する段階で、何かしらの人物や組織が、特定の政党や候補者を勝たせるために、実際に投票されたものとは違う結果になるように、票を操作しして結果を変える、というものですよね。
不正選挙に関する、千葉ちゃんの印象は?」

千葉 「言葉としては効いたことありますけど、そんなことホントにあるのかないのか、そこまで意識したことすらないのが本当のところです。
ただ開票作業とかを実際に見ることってないから、本当にやられててもわかんないかもなーとは思います」

乙武 「たとえば、桜を見る会で指摘されている疑惑の、税金で自分のところの有権者に便宜を図っているというようなことが事実だった場合、公選法違反にはなると思うけど、そういうのも不正選挙に入るんですか?
それともこういうのはまた別の問題?」

松田 「桜を見る会は、選挙に関する買収だったり利益誘導という点で選挙違反ではないかということですが、一般的に不正選挙というと、開票段階で実際に投じられた票を操作するということ、という感じですね」

投票箱や集計機器、システムに疑惑あり?

千葉 「投票結果は操作されているんじゃないかと不正選挙陰謀論がネットでよく盛り上がったりしてますけど、今回は、実際のところどうなのかということについて、選挙ドットコムの取材なども交えて、検証していきたいと思います。

まずひとつめは、投票箱や機器、システムへの疑惑。
☆鉛筆で書いた候補者名が、分類機で消されてしまうのでは?
☆選挙システムを担っている株式会社ムサシの筆頭株主は安倍首相では?

などという疑惑があがっていますが……。

*このとき台本が間違っていて「不正選挙機を作っている~」などと紹介してしまった株式会社ムサシさんには、この記事でも重ねてお詫び申し上げます。株式会社ムサシは、公平に選挙が行われるための機器、システムを作っておられる信頼できる会社です。

松田 「これに関しては、選挙ドットコムさんが直接取材してくれたものがありますから、それに沿ってお話ししていきますね。

まずムサシに関して言うと、投票箱や投票用紙そのもの、投票用紙を分類したり数える機械を作っている企業さんで、上場もされています。

投票用紙読取分類機、というのは投票用紙に書かれた名前を分類して仕分けする機械なんですが、機械が仕分けたものは、人間が1度ならず複数回、確認します。

そして分類して人間がチェックすると、今度は投票用紙計数機にかけて票の数を数えるんですね。これも複数回にわたって使用して確認します。

この機械のすごいところは、投票用紙の通り道に全て透明のプラスチックが使用されていて、投票用紙が見えなくなることがないんです」

乙武 「おおスケルトンなんだ。機械の中で別の票に取り換えたりっていう不正はしてないよーというのを、ちゃんと可視化していると」

松田 「ですから計数機の中で文字が消えたり、書き換えられるような不正は基本的にナイというか、ありえませんね。

投票用紙に関してもね、ユポという特殊な合成紙を使っているんです。
有権者が名前を書いたら折ってから箱に入れるじゃないですか。
それが箱の中でひとりでに開くという性質がある紙なので、開票作業でいちいち人の手で票を開く手間が省けるようになっている。

また毎回の選挙ごとに、投票用紙を微妙に変えて作り直しているんです。
だから前に残っていた投票用紙を使って差し替えるってこともできないように工夫されているんです」

乙武千葉 「へええーーー」

松田 「そうやって毎回不正がないように、選管でもかなりのチェック・工夫をしているんですよ。
それから2番目の『ムサシの筆頭株主が安倍総理』というのは全くのデマです。

これはバズフィード社が検証、調査をしたんですが、どうも籠池さんが『ムサシの筆頭株主は安倍総理だと聞いている』というようなことを、外国特派員協会の会見でして、パーッとネットでも広まったらしいんですよ。

でもこれはバスフィードがファクトチェックをして、まったくそういった事実はないという検証結果を出しています」

乙武 「なんで籠池さん、そんなこと言っちゃったんですかね……。
でも、そんな籠池さんもYouTube始めたんだ?」

松田 「もうみんなが始めてます(笑)」

乙武 「僕らもこうやって始めてるんで人のことはいえないけどね」

千葉 「じゃあ機械はクリーンなものだということですね」

松田 「ムサシさんが作っている集計用機械は、正確・公正さに加えて、開票作業にかかる時間を短縮するということで、いろんな工夫をなさっているんです。
それは選挙結果を早く知りたい・出してくれという、有権者やマスコミのニーズに自治体と選挙管理委員会側が答えたいという姿勢をサポートしているんですね」

乙武 「疑惑のひとつ目の、鉛筆で書いた名前が消えちゃう、っていうのだけど、そもそもなんで投票には鉛筆なんですか?」

松田 「その理由はいくつかあって、ひとつは全国の投票所の全部の記載台に置くということでコストが安いということ。ふたつめは繰り返し使えること。3つめは、投票する人が書き間違えたときに消せること。これ、機械が消せるとかじゃないですからね。4つめは、筆圧が弱い人でも、投票所に置いてあるのは濃い目の2Bとかですから、筆圧が弱くても書けること。

ただ、別にボールペンで書こうがサインペンで書こうが問題ありません。自分のペンや筆記用具を持ち込んで書いても大丈夫」

千葉 「色に決まりはあるんですか?」

松田 「しっかりなんと名前が書かれているか読めさえすれば、色も指定はないですよ。
ただし、多重記載についての制限はあるんです。原則として名前以外は書いちゃいけないと。

それ以外のことを書くのは、秘密情報の保持という点でダメ。
たとえば、仲間内で『乙武さんに入れようぜ。入れたら名前の下にZって書こうな』みたいに言って、『乙武洋匡Z』と暗号風に入れたりしたら、グループ内で何人投票したかわかっちゃって秘密の保持が守られないということでNGと」

乙武 「なるほどー」

選管職員が、こっそり票をすり替え、握りつぶしている?

千葉 「次はこちらの人的な不正に関する疑惑です。
支持する(または買収されている)候補者を有利にするために

☆名前を書き替えている
☆他候補の票をポケットへ(握りつぶしてなかったことに)?

などが行われているのでは、という疑惑についてはどうでしょうか。
そもそもこういうことって本当にできるんですか?」

松田 「これもね、基本的にはできないですね。
というのも、開票している様子は、公開されているというか、見られるんです。
公選法でも決まっているんですが選挙人、つまり選挙区の有権者であれば、参観といって開票の様子を見に行くことができるんです。
これも一般の方には意外に知られてないですよね。

実際、先日上尾市の開票作業を見に行きたいと思っていたんですが……」

――――我々、スタッフの中に上尾市民がいなくて行けなかったんです(スタッフ)―――

乙武 「市民じゃないとダメなんですか?」

松田 「ダメですね。入口のところで、その選挙の有権者かどうかの確認をされるんです。
有権者であればだれでも見ることができるんですが。

さらに開票自体も選管側の職員がたくさん作業をしてますし、各候補者の陣営から開票立会人というの出すことができて、その人たちも開票作業を見守るわけです。

開票が正しく行われて不正がないか、自分たちの票がちゃんと有効に1票になっているかを、真剣に確認する目がたくさんある中で、係員がこっそり名前を書き替えたり、他候補の票を盗んで捨てちゃうとかは、かなり難しいと思いますね。

だから1度、開票現場を見に行くことが『論より証拠』でいいと思うんですよ」

それでも過去にミスはあった。これが「不正選挙陰謀論」発生の原因?

データや調査結果をあげながら、冷静に都市伝説の不正選挙陰謀説を、真っ向からぶった切る松田さんに、MC乙武さんから鋭い指摘が。

乙武 「ただこの前の参院選で、どこの地域だったかで『山田太郎』さんに投じられた票が、全部1字違いの『山本太郎』さんにカウントされてたっていうミスがあったじゃないですか。

ああいうことがあると、事例的には本当に単純なミスなんだろうけど『ああいう操作を、意図をもってやるのは可能なんじゃないの?』って陰謀説の真実味が増してきちゃったりするわけですけど、どうなんですか?」

*編集部注
7月21日投開票の参院選で当選した自民党の山田太郎氏の得票を巡って集計ミスが判明。静岡県富士宮市での得票が、山田太郎氏分がゼロとなっており、変わりに一文字違いのれいわ新撰組代表の山本太郎氏にカウントされていた。
外部から指摘を受けた富士宮市選挙管理委員会は、23日集計ミスを認めて、記者会見を開き謝罪。

松田 「そういうミスが検証できるかどうかは、あると思いますね。今回はミスだとわかって修正されました。今後、こういうことが起こらないようにさらにミスを防ぐ努力はされているんですけど、残念ですよね。

こういうミスが『不正選挙疑惑』の根拠になっちゃうことが、本当に残念。

また実際のところ過去、開票に不正があった事実はあるんです。
2013年の参院選のことですが、高松で投票されたはずの票がなくなってるというのが発覚しました。結局、なんでそうなったかを調べたところ、投票用紙の数や投票した人数というのはかなり厳密に管理されていますよね。

投票所で投票用紙が『ウィーン』って1枚だけ出てくるのは、人が間違って重なった状態で2枚渡しちゃうというミスを防ぐためなんです。一見すると、なんか無駄な機会に見えますけど、あの機械で何票出したのかしっかりカウントされているわけです。

だから投票用紙の総数は正確にわかっているんですよ。ところが開票した時の総数と合わない……。
選管の職員は『早く当選結果を出さなくちゃ』とプレッシャーがかかっているから焦ってしまって、数が合わないとなったときに、予備の投票用紙を白票ってことにして水増ししてごまかしちゃった。
そういうことは実際にありました」

乙武 「ちなみにその数が合わなかった投票用紙はどこに行ったんですか?」

松田 「開票所の別のところに置いてあって、うっかり数え忘れた」

乙武 「そういうときは再選挙?」

松田 「そのときは数えなかった票を反映して開票結果を修正しましたね。

不正を行った選管職員は懲戒解雇という非常に厳しい処分になりました。退職金ももらえません」

乙武 「数え直しした票を集計しなおしたら、結果は変わったんですか?」

松田 「変わらないです」

乙武 「それはまだよかったよね。もし最初に当選してた人が、実は落選してたとかなっていたら……」

松田 「それだったら本当に大問題ですよね。
他にも滋賀県でも投票所1個分の票を丸々数え忘れたなんていう事例もあります。

実際の不正選挙っていうのは、特定の候補を勝たせるために誰かが意図して不正を働くという不正ではなくて、自分たちの集計ミスをごまかす・隠すためにやらかす不正ってことですね。

数え間違えをなくす研修なんかも、全国の選管で行われてはいるんですけど。

まあそうしたミスで実際に当落が入れ替わった事例はありません」

乙武 「チェルノブイリと同じだね。起こったことを隠そう隠そうとして、ウソにウソを重ねしまう、っていう」

松田 「ですね。ウソにウソを重ねて、投票用紙シュレッダーに入れたりとか、もやしちゃったりとかってことになるので」

乙武 「みんなでシュレッダー室に見に行かないと!」(爆笑)

千葉 「重い処分があるってことは、みなさん細心の注意を払って作業されているわけですよね」

松田 「そうです。ぜひ今度千葉ちゃんにも参観に行ってもらって様子を見てほしいな」

乙武 「今度の衆院選でやりたいね。番組でやりましょう!」

不正選挙陰謀説のもうひとつの理由は支持者の心理?

「不正選挙ではないかという疑惑が出てくるもう一つの背景としてね、実際自分が支援・応援している候補が落選すると『こんなはずない!』っていう心理が働くこともあると思うんですよ。
『自分の周りはみんな応援しているのに、それだけしか票が取れないなんておかしいじゃないか』となるわけですよ。

『私の周りには安倍さんを支持している人なんかひとりもいない!』とか逆に『支持している人しかいない』とか。有権者間に分断気味なところもあるのでね。

でも大型選挙の場合は、事前にマスコミが電話で世論調査をしてますし、かつ実際に投票した人にも同様の調査を行っていますし、選挙日当日は『出口調査』といって、投票所から出て来た人にも誰に投票したか聞くという調査を行うんですよ。

この3つの調査の傾向が一致していて、結果が大きく変わったという例を僕は一切知りません。つまり開票結果は事前事後の調査と100%合致しているわけで、これこそ不正選挙は行われていないということの証拠なんじゃないかというのが、僕のスタンスですね」

乙武 「そもそもみんなが疑惑を持つのは、紙の選挙だからでしょ?
だからネット投票を導入すべきって思っている人も少なくないんじゃないかな? 千葉ちゃんどう思う?」

千葉 「はい、次回はそのネット選挙について特集していきたいと思いますので、今回はこのへんで」

 

 

選挙ドットコムちゃんねるは毎週火曜日に配信中!

そんな「新感覚」選挙・政治情報チャンネルの「選挙ドットコムちゃんねる」は毎週火曜日に新しい動画を公開しています!選挙の裏側や真相系のネタは、「なるほど」とためになると同時にワイドショーよりも新鮮でおもしろく、エンタメ性も抜群かも…?!ぜひチャンネル登録をよろしくお願いします!

チャンネル登録はこちらから>> 

© 選挙ドットコム株式会社