「あなたに触らせて」- 身体や心が奇形な登場人物をパステルカラーで描くスペイン映画

身体や心が奇形な登場人物をパステルカラーで描くスペイン映画

口と肛門が入れ替わっている少女、目のない女性、顔の片側が爛れている女性、対して、人魚に憧れを持ち脚を切断しようとする健常者の少年、奇形の見た目しか愛せない男性、これはそれぞれ人間の歪みで出来た話だ。内容こそ残酷で目を伏せたくなる部分もあるが、部屋や洋服、食べ物までピンクやパープルのパステルカラーで映像が統一されており、重たくなりすぎず観ることはできる。ダークな現実と無理やりなくらい明るいカラーで彩られた映像は衝撃的すぎてかなり余韻が残る。

結局人間は見た目か? 中身か? そんな簡単なようで簡単ではない問いをパステルカラーの世界で、「察してくれ!」と言わんばかりの説明の少なさで伝えてくる。たった77分と短い映画ながら考えさせられる美しい社会派コメディを是非見て欲しい。(LOFT9 Shibuya:長沼楓)

© 有限会社ルーフトップ