BTCC:全30台参戦の2020年暫定エントリー発表。ホンダ、BMWが勢力拡大

 世界のツーリングカー・シリーズの源流とも言えるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2020年暫定エントリー参戦枠が公開され、引き続きライセンス所有枠の全30台が埋まる盛況ぶり。2018年からホンダ陣営に加わったBTC Racingが3台体制に拡大するほか、フォルクスワーゲンを走らせるTeam HARDが新たにBMWをラインアップに加える見通しだ。

 長らくシボレー・クルーズなどでシリーズを戦ってきたBTC Racingは、2019年シーズンを前にホンダのファクトリーチームであるTeam Dynamicsから、FK2型に代わって18年型となるFK8ホンダ・シビック・タイプRのNGTC仕様車両2台を購入。マットグレーのボディにピンクのアクセントを入れた鮮烈なカラーの2台でタイトル戦線に絡んだ。

 そのBTCホンダは、Aiden Moffat Racingの名称でエントラント登録するLaser Tools Racingの参戦枠ひとつを入手。3台体制を敷くことが可能となり、ホンダ・シビック・タイプRの新スペックを投入すると見込まれている。

 一方のLaser Tools Racingは、先にアナウンスのあったとおり2019年までスバル・レヴォーグGTを走らせてきたTeam BMRとジョイント。チャンピオン経験を持つチームとアシュリー・サットンを迎え入れ、ジョイントプログラムとして2020年型インフィニティQ50 BTCC(日本名:スカイライン)を投入する。

 その他の大きな変化では、フォルクスワーゲンCCの4台体制で戦ってきたTeam HARDが、そのうちの1枠をBMWにスイッチすることを発表。名門WSR(ウエスト・サリー・レーシング)が製造した元チャンピオンマシン、BMW125i Mスポーツの機材を導入し、43歳のカール・ボードレーがステアリングを握ることとなった。

「もちろん、このマシンには先頭集団で争うポテンシャルがある。このBMWを入手可能と聞いたとき、チャンスに飛び乗らなきゃ、と思ったよ。いくつか選択肢はあったけれど、定評あるWSRのチャンピオンカーだけに興味を抱かざるを得なかったんだ」と語ったジネッタGT4王者でもあるボードレー。

 これでTeam HARDは、2020年シーズンで前輪駆動モデル3台、後輪駆動モデル1台の両駆動方式を走らせるという、技術的な課題を抱えることにもなった。

2019年はBMW330i Mスポーツ、トヨタ・カローラBTCCがデビュー。2020年はヒュンダイが新規参戦を果たす
ジョシュ・クック、クリス・スマイリーともに勝利を飾った2019年のBTC Racingは、3台目のFK8ホンダ・シビック・タイプRを投入か
2019年はステファン・ジェリーが走らせたBMW125i Mスポーツ。2020年はTeam HARDからも参戦する

「BMWの名前をチームに持ち込むことができ光栄だ。私も2011年シーズン後半戦にBMWをドライブした経験があり、カール(・ボードレー)がこうしてWSRとの契約を勝ち獲り、BTCCで大きな成功を収めた1シリーズを手に入れたことをうれしく思うと」と語るのは、チーム代表のトニー・ギラム。

「たしかに我々は後輪駆動のNGTC仕様マシンに不慣れな面はあるが、カールのジネッタでの経験がチームを正しい方向に導いてくれると信じている。それに、このプロジェクトはフォルクスワーゲン以外の選択肢を検討する機会を与えてくれる出発点にもなるだろう」

「このクルマ(VW CC)での参戦は最長であと2年。価値ある後継車を探しているし、CCの広域な開発を続けながら、BMWでの経験を蓄積するのはこうしたプロセスの完璧なスタートになるだろう」

 併せてTeam HARDは、2018年にもチームに所属したマイク・ブッシェルの復帰も発表。ルノー・クリオカップUKの元ダブルチャンピオンで、2019年はレースエンジニアに転じながらも、シーズン終盤はサム・トルドフの代役としてCobra Sport AmDのFK2ホンダ・シビック・タイプRをドライブした30歳のブッシェルが、再びVWのステアリングを握ることとなった。

「またチームに戻って、2018年の進捗を引き継げることをうれしく思うよ。19年は残念ながらフルシーズンのシートを獲得できなかったが、サム(・トルドフ)の困難な時期にチームを助け、ロリー・ブッチャーのインディペンデンス・トロフィー獲得をサポートすることができた」

「この経験が、僕のレース熱とドライビングへの欲求に再び火をつけたんだ。2019年の副業(レースエンジニア)は、技術的側面への理解を深めるのに大いに役立ったし、その効能をVW CCで最大限活用したい。3度目のフル参戦シーズンを楽しみにしているよ」

 これでTeam HARDはBMW125i Mスポーツのカール・ボードレーに加え、フォルクスワーゲンCCにはジャック・ゴフとマイク・ブッシェルという強力なラインアップが完成。残る1台は追ってアナウンスされる。

身内の不幸によりシーズン終盤を欠場したサム・トルドフに代わり、ドライバー復帰したマイク・ブッシェル(右)
2018年シーズンにも同チームのフォルクスワーゲンCCをドライブしており、チーム、マシンとも2年ぶりの再会となる
復帰移籍1年目だったジャック・ゴフは、第9戦でチームに初勝利をもたらしている

■2020年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権『TBL allocation(参戦枠割り当て)』

Aiden Moffat Racing:1
AmD/Cobra Exhausts:2
AmD/Trade Price Cars:2
BMR Racing:1
BTC Racing:3
Ciceley Motorsport:2
Excelr8 Motorsport:2
Motorbase Performance:3
Power Maxed Racing:2
Simpson Racing:1
Speedworks Motorsport:1
Team Dynamics:2
Team HARD:4
Team Parker Racing:1
West Surrey Racing:3

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