うちの会社ってこんなに格好良かったんか!?映画風ポスターで求人募集 応募者激増の背景に迫る

©まいどなニュース

映画『海猿』をイメージした運送会社の求人ポスター、“出演者”は全員社員です

ある就職説明会の会場。似たようなテイストの求人ポスターが並ぶなか、「え、映画の宣伝ポスター?!」。よく見ると、タイトルと思ったのは社名で、登場人物はその企業の社員。若者や年配者の凛々しい表情や爽やかな笑顔、本物の俳優さながらの面々があふれている。「ここなら面白い仕事をやらせてもらえそう」と、社のブースはまたたく間に人でごった返した。

企業映画化ポスターの製作を手掛けるのは、2008年創業、兵庫県姫路市の広告代理店、感動会社楽通(らくつう)。「ジャンルやストーリーを瞬時に伝える映画ポスターは、企業の求人ポスターに応用できると考えた」と語るのは、田村慎太郎社長だ。ポスター製作は打ち合わせから。テイストや社員の配置などを大まかに決めたら撮影にかかるという。企業の会議室などで、社員1人につき5〜10分で数カットずつ撮る。そうして仕上がった「渾身の一作」を、撮影に参加した社員全員の前で「せーの」と披露。そのクオリティの高さに一同どよめき、7割程は修正なしで通るそうだ。

やはり人手不足で悩む介護施設の求人広告。イメージはゴジラだそう

2年半前から始め、すでに120社以上を手がけ、現在20社ほどが進行中だ。求人ポスターやパンフレット、さらに学生向けにポスターの図柄を印刷したクリアファイルなど、企業オリジナルのグッズも作製する。

多額の費用をかけて求人広告を出しても人が来ないと悩む、製造や運送、建設業などの中小企業は多い。「待っていても彼らから具体的な要望は出ない。自分から彼らの悩みを聞き、提案できることを考えた」という田村社長は、社名を知ってもらうことが最優先と考えた。しかしグッズやCMを作る予算はない。そこで映画好きな社長は、映画のポスターに着目した。そこで企業イメージを反映したポスター試作を自社のデザイナーに頼んでみたところ、できあがったポスターに心が震えたという。

「予想をはるかに超える高いクオリティだった」と言わしめたデザイナーは、約10年間も遊戯業界でポスター製作の仕事をするが評価されず、激務に疲れ転職してきた人だった。「彼は凄腕。今では、彼を指名する企業さえあります」。

納品した企業の社員の中には「うちの会社はこんなにカッコ良くないのに」と心配する意見も出たそう。しかしそこに写るのは紛れもなく自分。それを見て良いイメージを抱いて入社する新人もいる。

食肉卸と小売業を営む会社の求人広告。小さく映る子どもは3代目だそう

「がっかりされたくない社員は、言葉遣いやふるまいに気を配るようになるそうです。仕事はもちろん、あいさつも掃除も率先して行う。すると社内の雰囲気が良くなり、自分の会社を家族に自慢する社員も出てきた。社員の団結力が増したと喜ぶ社長もいました。一番嬉しかったのは、自分に自信が持てたという声です」という田村社長。「今後は映画の予告のような、壮大な求人CMの製作を考えています。映画館で、本編が始まる前のCM枠で流せたら」と語る。

今まで手掛けた会社は120社以上。全国から注文がくる
感動会社楽通の、田村慎太郎社長

企業映画化ポスターの製作期間は、撮影後約1カ月。価格は問い合わせください
感動会社楽通 http://www.rakutsu.jp

(まいどなニュース特約・國松 珠実)