いざ!に役立つ北海道のスゴ技

五輪マラソンで採用の可能性も

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今週のけいナビは「いざ!という時に役立つ技術」がテーマ。
北海道ならではの事情から生まれた、今注目の「ヒトを守る製品や技術、サービス」を紹介する。
まずは、札幌に突如舞い込んだ来年のオリンピック・マラソン競技。この世界中の視線が集まる舞台を、支えるかもしれない企業が札幌に。

可動式の車両突入阻止バリケード「ヘラクレス」

車両突入を防ぐバリケード「ヘラクレス」。警備用品を製造販売する札幌のトライ・ユーが開発した。可動式で、簡単に設置ができる。ポイントはカバーに隠されたスパイクピン。車が衝突したときに、カバーからスパイクピンが飛び出て、アスファルトに食い込むようになっている。

カバーに隠されたスパイクピン

トライ・ユーが行った、時速60キロで走る車が衝突する実験。

衝突後にアクセルを踏み続けても、車両は進むことができない

アクセルを踏めば踏むほど、ピンがアスファルトに食い込んで動かなくなる仕組み。他にも工夫が。

正面のメッシュ部分は柔らかい構造になっている。車が衝突した時に、わざと変形することでエネルギーを吸収する。その効果によって、飛散物もできるだけ抑えることができるという。価格は1台80万円。リースの場合、7万5,000円で3日間まで使用できる。(税抜き、運搬費別)

トライ・ユーの上杉章社長は、「開発のきっかけは、2017年に世界中で多発した車両テロ。日本のイベントでも対策が必要だと、警備会社、警察関係から開発の相談を受けた」と話す。

北海道だけでなく、本州のイベントやホテルでも採用されているという

製品が出来上がったのは、去年5月。以来、よさこいソーラン祭りや六本木ヒルズ盆踊りといった各地のイベントで使われている。最近は、世界のVIPが泊まるようなホテルからも引き合いが。
来年夏に札幌で開催されるオリンピックのマラソンでも、すでに警察から問い合わせがあり、金額を提示したところだという。

続いては、胆振東部地震に伴い発生した道内全域停電、いわゆる「ブラックアウト」がきっかけで生まれたサービス。省エネマネジメントなどを手掛ける北海道電気相互(札幌)が始めた電気の宅配サービス「イーデリバリー」だ。

大規模な停電が発生した際、多くが生活を送るマンションや病院に電源車が出向き、電気を供給する仕組み。去年のブラックアウトの際、マンションの高層階に暮らす人たちは、食料や水を手に階段を上り下りする生活を余儀なくされた。その解決策にしたい考えだ。

ブラックアウトの時、マンションのエレベーターが止まり不自由な生活を強いられた人も

100Vの蓄電池も搭載し、太陽光で自動的に電気をため込み、いつでも取り外して使える。北海道電気相互によると、300Wから500Wであれば、8時間くらい使用可能で、携帯電話やスマートフォンの充電には十分だという。サービスの開始から1カ月あまり。ブラックアウトの苦い経験から、問い合わせが絶えないという。料金はマンションの場合、1戸当たり月額980円。札幌から半径30キロ圏内が 営業エリアで、将来的には旭川や函館など、道内の他の都市でもサービスを始めたいとしている。

医療用具を製造販売する「メディカルプロジェクト」(静岡)。北海道立総合研究機構と、あるアラームを共同開発した。

浴槽の下にセンサーを設置し、入浴者の呼吸と脈拍を検知。異常が起きると、アラームが鳴る仕組みだ。

センサーで入浴中の呼吸と脈拍を検知する

呼吸が20秒止まると、離れた場所でアラームが鳴り、同時に排水栓が自動的に空く仕組み。構造上、浴槽の下にセンサーをつけられない場合は、床の部分にセンサー機能を備えたシートを置く。価格は20万円前後。去年6月から販売を始め、 主に首都圏の老人ホームなどに納入している。きっかけは、呼吸と脈拍を計測できるベッドの開発だ。

介護業界では人手不足が深刻。センサーによる見守りシステムが注目される

介護現場では、入居者の入浴中に、スタッフが出口で見守りをしていて、負担になっているのだという。メディカルプロジェクトの小林信明取締役本部長は「このセンサーで負担を軽減し、入居者の安心安全にもつながる」と話す。
冬場は、急激な温度変化が原因の「ヒートショック」による高齢者の事故が相次ぐ。在宅での事故を防ごうと、一般向けのシステムも開発中。10万円を切る価格での販売を目指す。

旭川市内の小児科のクリニック。ここでは、ことし10月から、医師と親が子どもの病状を共有するスマートフォンのアプリを導入している。

子どもの病状をスマートフォンのアプリに保存する

アプリの名前は、「ププノート」。親が子どもの病状を写真とともに記録。その情報は、クラウドに保存され、かかりつけの医師に伝わる。過去に撮った画像もすべて保存されるため、医師は、今の症状と過去の症状を見比べながら診断できるようになるという。

数日前の蕁麻疹の写真を見ながら診療

開発したのは、札幌の医療コンサルティングのクランバーズ。病院から発行されるIDとパスワードをスマホに入力。撮影した画像にコメントを付けて保存できるほか、医師が監修した病状の説明も見ることができる。救急車を使うべきか迷うような場合にも、適切な対応が指示される仕組みだ。

症状が出る度に記録するため、医師への伝え忘れも減らせる

スマートフォンに慣れ親しんだ若い親をターゲットに小児科からスタート。旭川と札幌の4つのクリニックがこのシステムを導入している。サービスの開始から3カ月。すでに100人ほどが利用していて、患者側は無料だ。今後は、生活習慣病や糖尿病、人工透析などにも応用したいという。

社会課題を解決する北海道の技術。全国・世界にも広がる可能性を秘めている。
番組の最後は鈴木ちなみさんの一言。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。

(2019年12月14日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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