テーマパークの複合施設を誘致へ 上瀬谷通信施設跡地に市長

林文子市長が、テーマパークを核にした複合施設を誘致する考えを明らかにした上瀬谷通信施設跡地(2015年7月撮影)

 横浜市の林文子市長は11日、上瀬谷通信施設(同市旭・瀬谷区、約242ヘクタール)跡地に、テーマパークを核にした複合施設を誘致する考えを明らかにした。想定するのは、跡地を四つのゾーンに区分したうちの「観光・賑わい」ゾーン。市郊外部に国内外から客を呼び込み、地域活性化の拠点に育てるのが狙い。また相鉄線瀬谷駅を起点にした「新たな交通」の導入に向け、来年1月から環境アセスメント(環境影響評価)の手続きなどにも着手する。

 同日開かれた市会第4回定例会本会議で、遊佐大輔(自民党・無所属の会)、久保和弘(公明党)両氏の質問に答えた。

 市は6月、地権者らで組織する「旧上瀬谷通信施設まちづくり協議会」に対し、「農業振興」(約50ヘクタール)、「公園・防災」(同)、「観光・賑わい」(約125ヘクタール)、「物流」(約15ヘクタール)の四つのゾーンに跡地を区分する土地利用案を提示。これをたたき台に、両者で検討してきた。

 協議会との調整の進捗を問われた市長は、11月に土地利用ゾーンの取りまとめが終了したと説明。その上で、跡地の過半を占める観光・賑わいゾーンには「横浜の知名度向上に寄与する魅力的な施設の立地が必要」とし、「テーマパークを核とした複合的な集客施設の誘致を想定している」と表明した。民間事業者から具体的な提案があったかや、誘致の時期などには言及しなかった。

市は今後、約240人の地権者との合意形成を図りながら、土地利用基本計画を策定する。「市民の意見を聞くことが大事」と指摘された市長は、計画の素案を公表し、市民からの意見を募る方針を示した。

 市は跡地を会場に、2027年の国際園芸博覧会(花博)開催を目指している。米軍に長年接収されて基盤整備が遅れた地域で、花博を起爆剤にまちづくりを進めたい考えだ。併せて、将来の土地利用のために必要となる、新たな交通の導入を検討している。

 市長は「土地区画整理事業や公園の整備、さらには新たな交通の導入に向けて、必要となる環境影響評価や都市計画などの手続きを、2020年1月から着手する予定」と答弁した。

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