幸楽苑×かつや、メンマ入り「ラーメン味のコロッケ」が生まれた事情

ラーメンチェーンを展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は12月5日、とんかつ専門店「かつや」などを手掛けるアークランドサービスHDとのコラボレーションメニューを発表しました。

「幸楽苑」のラーメン、「かつや」のとんかつ、「からやま」のからあげが、合体するという奇抜なメニュー。どのような誕生経緯があるのでしょうか。12月11日に開かれた記者発表会の内容から探ります。


ラーメンの味がする?コロッケ

幸楽苑では、12月12日から期間限定で「かつや監修 ソースカツ丼」(380円、税込み)を販売します。

ソースカツ丼は、幸楽苑創業の地である福島県会津若松市を中心とする会津地方のグルメ。かつやが肉とソースを監修しており、サクサクの衣と柔らかな豚肉に、ソースがたっぷりと絡んでいます。幸楽苑の新井田昇社長は「いつか発売したいと思っていた」と語ります。

一方、アークランドの展開する「からやま」では、「らーめんからあげ定食」(690円、税別)を販売中。幸楽苑のラーメンだれを鶏肉に漬け込んで仕上げたもので、メンマとナルトも一緒に盛り付けて、見た目にもラーメンらしさを演出しています。

さらに「かつや」では、「ラーメンコロッケとロースカツ定食」(690円、税別)という不思議な商品を投入。ラーメンコロッケには、ネギ、メンマ、チャーシューといった一般的なコロッケには入らないような具材を使用しています。

アークランドの臼井健一郎社長は、「幸楽苑さんのしょうゆだれの味を、かつやでどう表現しようかといろいろ考えたんですが、コロッケに練り込むのが一番おいしくなりました。お客様からは『ラーメンの味がしない』という声が多いんですけど、結果的に『普通にうまいコロッケ』という情報が来ています」と笑います。

社内からも「売っちゃっていいんですか?」

発表会に登場した女優の高橋惠子さんは、新メニューのラーメンコロッケを試食して、「おもしろい。ラーメンを食べた気がするぐらい。よくこんな商品を合わせましたね」と驚き、両社長に今後展開する予定の商品を質問。

臼井社長は、かつやで過去に発売した「カレーうどんカツ丼」や「牛丼カツ丼」といった商品を挙げて、「かなり売れましたが、いよいよやるものがなくなり、今度は『坦々うどんカツ丼』『台湾うどんカツ丼』とかいろいろ準備をしています」と説明。

そのうえで「社内で『こんなの本当に売っちゃってていいんですか?』とザワザワしていますが、協議しながら出せる範囲で新しいものを出していけたら」と語ります。

新井田社長は、幸楽苑で昨年販売した「チョコレートラーメン」を「一部のお客様には評価いただいた」と総括。2020年はバージョンアップして、ホワイトチョコを追加した、黒と白の2種類を販売することを明かしました。

コラボの背景には業務提携

今回のコラボメニューは、9月に発表された両社の業務提携で実現したもの。幸楽苑の不採算店舗をからやまに業態転換し、ドミナント出店しているエリアでの自社内競合を解消することで、経営効率を改善する狙いがありました。

12月までに4店舗をからやまに業態転換。新井田社長によると、これまでに業態転換した店舗の売り上げは好調で、「転換した店舗は、からやま全店の中でも売り上げの数値がランキング上位」。今期中にさらに1、2店舗を転換予定といいます。

また、9月に実施した、幸楽苑・かつや・からやまの共通割引券も、「相互送客の効果が確認できている」(新井田社長)そうです。

ラーメン、とんかつ、からあげという、人気メニューを展開する両社のコラボにより生まれた新商品。話題性で新たな顧客を呼び寄せることができるでしょうか。

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