納得がいかない

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 「桜を見る会」の参加者名簿を廃棄した件について、文書データも復元は不可能と安倍晋三首相は答弁していた。その一方、神奈川県が廃棄したはずの行政文書が流出し、データが復元されるという皮肉な事件が発覚した▲廃棄を請け負った業者の社員がこっそりハードディスクを持ち出し、ネットオークションで売りさばいていた。落札者が復元ソフトを使うと、名前や住所、納税額など、一般県民のプライバシーが他者の目にさらされた▲そんなに簡単にデータ復元ができるのなら、「桜を見る会」参加者データの復元も簡単なはずだと思うのは、筆者がIT素人だからだろうか。不可能というのはその場しのぎの方便ではないかという思いがますます募る▲参加者データを公表しないのには「個人情報だから」という理由も挙げられていた。税金で開く会に反社会勢力の人間が招待されていたのではという疑惑もうやむやになっている▲政権が不都合な情報を非公開にする際には、「個人情報保護」をしばしば大義名分にする。その傍らでは、犯罪を防げず漏れてしまった個人情報があり、悪用される危険に脅える人がいるかもしれないのに▲どうにも納得がいかない。情報公開と個人情報保護という二つの言葉は、政権が恣意(しい)的に使い分けていいものではないはずだ。(泉)