差別根絶条例が成立 全国初、ヘイトスピーチに刑事罰

全国で初めて盛り込んだ差別根絶条例案を可決した川崎市議会=12日午前

 あらゆる差別を禁止し、ヘイトスピ-チを繰り返した人物に刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(差別根絶条例)が12日、市議会本会議で採決され、全会一致で可決、成立した。

 やまないヘイトスピ-チの被害を前に、国の法律や他の自治体に先んじて差別的言動を犯罪と定め、全国で初めて刑事規制に踏み切る。罰則は来年7月1日から適用される。

 全ての市民が差別を受けることなく暮らせるまちづくりを掲げ、国籍や人種、性的指向、出身、障害などを理由にしたあらゆる差別的取り扱いを禁じた。罰則については、市の勧告、命令に従わずに3回目のヘイトスピ-チを行った場合、氏名を公表した上で捜査機関に告発する。検察庁に起訴され、刑事裁判で有罪になれば最高50万円の罰金が科せられる。

 罰則対象は市内の道路や公園など公共の場で、拡声器やプラカ-ドなどを使った言動で、居住する地域から退去させることを扇動、告知する▽生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加えることを扇動、告知する▽人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱する─ものとした。

勧告、命令、氏名公表に当たって市長は有識者でつくる審査会に意見を聴くことにするなど、権力の恣意(しい)的な乱用を防ぎ、憲法で保障された表現の自由を過度に規制しない仕組みを設けた。

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