放出か契約延長か 主力選手の処遇が注目されるカブス

今オフのカブスは難しい選択を強いられている。2016年のワールドシリーズ制覇に貢献した選手たちの多くがすでに年俸調停期間に突入し、年俸が徐々に高騰。今季に続いて来季も年俸総額がぜいたく税の対象ラインとなる2億800万ドルを超えるのは確実と見られており、主力選手の1~2人をトレードで放出しなければ最低限の補強すらままならない状況なのだ。そのため、今オフのカブスには常にトレードの噂が付きまとっているが、その一方でカブスは主力選手との契約延長も視野に入れているようだ。

カブスの主力選手のうち、クリス・ブライアント、ハビアー・バイエズ、カイル・シュワーバーの3人はいずれも2021年シーズン終了後、ウィルソン・コントレラスは2022年シーズン終了後にフリーエージェントとなる予定である。また、2021年の球団オプション(年俸1650万ドル)の行使が確実視されるアンソニー・リゾーもブライアントらと同じタイミングでフリーエージェントとなる。

来季の予想年俸はブライアントが1850万ドル、バイエズが930万ドル、シュワーバーが800万ドル、コントレラスが450万ドルとなっており、カブスはバイエズとの契約延長交渉を開始する一方で、ブライアントの放出を検討していることがさかんに報じられている。なお、ブライアントは意図的にメジャーデビューを遅らされた2015年の扱いについて正式な判断を待っているところであり、ブライアント側の主張が認められた場合、来季終了後にフリーエージェントとなる。

ジェッド・ホイヤーGMは主力選手の一部と契約延長に向けた交渉を行っていることを明らかにしているが、ブライアント、バイエズ、シュワーバー、コントレラス、リゾーの全員と契約を延長するのは現実的な話ではない。次代の中心となる若手有望株の獲得を狙って主力選手のトレード放出に踏み切るのは当然の判断と言えるだろう。

とはいえ、ポストシーズン進出を狙える位置にいるカブスが完全なるチーム解体に向かうとは考えにくい。フロント陣には短期的な戦力強化と中長期的な戦力構築のバランスを見極めたうえで、主力選手の処遇について判断することが求められそうだ。

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