殺人未遂視野に捜査 玉澤元農水相銃撃事件 選挙資金めぐるトラブルか

玉澤氏の自宅を現場検証する捜査員=11日午後8時ごろ

 玉澤徳一郎元農林水産相(81)が盛岡市内で銃撃された事件で、県警は銃刀法違反(加重所持)の容疑で逮捕した奥州市水沢羽田町向田、農業髙橋脩容疑者(82)が盛岡市内の玉澤氏の自宅内で発砲したとみて、殺人未遂容疑での再逮捕を視野に捜査していることが11日、捜査関係者への取材で分かった。髙橋容疑者は玉澤氏と高校の同級生で、選挙資金をめぐる金銭トラブルがあり、県警は事件との関連を調べている。

 捜査関係者によると、玉澤氏は銃撃後に警察や消防に通報していなかったことも判明した。命に別条はないが、左足を撃たれ盛岡市内の病院で治療しており全治2週間。県警は事件直後に玉澤氏と接触できず、髙橋容疑者が10日午後2時ごろに、実弾入りの拳銃を持って盛岡東署に出頭したことで事件が発覚した。玉澤氏の銃撃をほのめかす供述をしているという。

 県警は11日夜に玉澤氏の自宅で現場検証を行った。

 髙橋容疑者は玉澤氏の選挙資金として貸した1000万円が返済されていないとして、2014年に盛岡地裁に提訴したが、時効などを理由に請求は棄却された。

 インターネット上では髙橋容疑者と同姓同名の人物が玉澤氏との金銭トラブルを告発し「法的に返済義務はなくなったが、道義を忘れた愚者であることに変わりはない」などとしている。また、1969年の衆院選に初出馬した際は、事務局長を務めていたなどと記されている。

地域住民と衝突も 髙橋容疑者

 髙橋容疑者は奥州市内の共有林に住み、住民から立ち退きを求める訴訟を起こされていたことが11日、分かった。付近の住民と立ち退きをめぐるトラブルを起こし、自らを暴力団員といって住民に嫌がらせや暴言を吐いていたことも明らかになった。

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