楽天則本昂、現状維持の3億円で更改 7年契約の2年目「優勝と20勝」誓う

契約更改に臨んだ楽天・則本昂大【写真:高橋昌江】

3月に右ひじ手術、初の1桁勝利も「充実した1年」

 楽天の則本昂大投手が12日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸3億円プラス出来高でサインした。今季開幕前に2025年までの7年総額21億円の大型契約を結んでおり、来季はその2年目。国内FA権を行使して残留した右腕は自身の20勝とチームの優勝を誓った。(金額は推定)

 ルーキーイヤーから6年連続で2桁勝利を挙げてきた則本昂だが、今年は3月に右肘のクリーニング手術を行い、12試合登板で5勝5敗に終わった。「手術をして働けなかったので成績としては物足りない」としながらも「充実した1年だったかなと思います」と振り返った。

 常に第一線で活躍してきた則本昂にとって、リハビリ期間は貴重な時間になった。若手に自身の経験や考えを伝え、「そこで改めて自分がどう思って野球に取り組んでいるのかとかいうことも再確認できた。リハビリ選手の苦労も経験でき、成長できたなと思います」とプラスにとらえる。

 その成果を発揮できたのが9月19日のロッテ戦だという。勝てば3位に浮上、負ければ自力でのクライマックスシリーズ進出の可能性が消滅する大一番。エースは8回を3安打無失点とロッテ打線を寄せ付けず、勝利に導いた。

来季から選手会長に「僕がいる間に脅かす選手が出てきてほしい

 3年契約の最終年となる今季開幕前に契約を見直した。球団との話し合いで2025年までの7年契約を結び直し、シーズン中に明らかにした。「素直に嬉しかったです。そんな年数をもらえる選手は少ないのですごく有り難い」。一方で、来季から選手会長の肩書きがつくチームリーダーは、チームのことも懸念する。

「6年間はこの球団にいる。その間に若い選手が育っていかないとダメだと思います。6年後にまだ僕がバリバリ1、2番目で投げているようじゃ、このチームはダメだと思う。僕がいる間に脅かすような選手が出てこないといけないと思いますし、若い選手と意見交換をしながら育成もしていけたらいいんじゃないかなと思います」

 色紙には「やっぱり、優勝したいので」と、「優勝」の2文字をしたためた。鈴木大地内野手や牧田和久投手が加入したが、楽天の未来を考えれば、若い選手の台頭が必要になる。自身については「20勝したい」と具体的な数字を示した。

「僕が20勝できる成績を残せば、チームもいい順位にいるでしょう。優勝したいので」

 優勝――。その一点を見つめ、2020年シーズンもチームの先頭を走る。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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