賃貸住まい、無保険の55歳独身「老後の住居と保険について知りたい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、賃貸に住む、保険に未加入の55歳の独身男性。老後を考えて住宅購入した方がいいのか、また医療保険に加入した方がいいのか教えてほしいといいます。FPの飯田道子氏がお答えします。

50代の独身男性です。貯蓄はある程度ありますが、将来的に住居を確保した方がいいのか、賃貸のままでいいのか迷っています。また、入院保険など保険に加入していないので、どんなものに加入したらいいのか教えていただきたいです。よろしくお願いします。

<相談者プロフィール>

・男性、55歳、未婚

・職業:会社員

・居住形態:賃貸

・毎月の手取り金額:25~30万円

・年間の手取りボーナス額:450万円

・毎月の世帯の支出目安:21万円

【支出の内訳】

・住居費:5万円

・食費:10万円

・水道光熱費:1万円

・教育費:なし

・保険料:なし

・通信費:1万円

・車両費:2万円

・その他:2万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:5万円前後

・現在の貯蓄総額:3000万円

・現在の投資総額:2000万円

・現在の負債総額:なし


飯田:将来的に住居を確保した方がいいのか、賃貸のままでいいのか迷っている相談者様。また、現在、入院保険など保険に加入していないこともあり、どんなものに加入したらいいのか知りたいとのこと。

独身者の相談は年々増えつつあります。マイホームの必要性、おすすめの保険について考えてみたいと思います。

相続する財産があるかを考える

これからマイホームを購入する方、全員に考えていただいているのは、相続で受け継ぐ不動産等の有無についてです。もし、引き継ぐ不動産があるのなら、「その不動産に住むことはできないのか? 家を建てられないのか?」を一度考えてみてください。

マイホームを持つべきかどうか?

独身者にとって、「マイホームを持つべきか、持つべきではないのか?」は、大きな悩みだと思います。また、年齢を重ねることで賃貸物件が借りにくくなるのも頭を悩ませる問題のひとつなのではないでしょうか。

ここでは60代からの生活において、賃貸、持ち家のそれぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。

【賃貸のメリットとデメリット】
(メリット)
・気楽に住み替えができる
・物件そのものの維持管理費が不要
・ローンがないため老後破綻のリスクが抑えられる
・高齢者向け住宅や有料老人ホームに引っ越ししやすい

(デメリット)
・簡単にリフォームできない
・年齢を重ねると貸してもらえない可能性がある
・家賃を払い続けなければならない
・防犯や防音性が劣ることがある

【持ち家のメリットとデメリット】
(メリット)
・自分の思い描く家を手に入れることができる
・毎月の支払いコストを抑えることが可能
・安心感が得られる
・好きにリフォームできる

(デメリット)
・マイホーム購入で預金残高が大きく減る
・簡単に住み替えできない
・固定資産税や管理費等の維持管理費がかかる
・売却する場合、買いたたかれる可能性がある

簡単ではありますが、メリットとデメリットを掲げてみました。もちろん、これ以外にもあるかと思いますし、個人ごとに、地域ごとにそれぞれ異なるかと思います。

自分が家を買うとしたら、どの場所で、どれくらいの広さがある家を買うのかを想像してみてください。具体的に物件や数字を使ってイメージしたり、シミュレーションすると、マイホームを買うべきかどうかが見えてきますよ。

将来どのように暮らすのかイメージする

今まで働いた自分へのご褒美として、趣味を謳歌するためにマイホームを買いたいという場合もあるかと思います。自分の夢を実現するのためのマイホーム購入は、大いに賛成です。

ただ、将来、残す家族がいないのなら、無理に預貯金を切り崩してマイホームを買うべきではないかもしれません。

また、有料老人ホームへの入所を希望する場合には、ある程度の一時金が必要になることがあります。今はまだ若く想像できないかもしれませんが、万一のときに備えて自由に住み替えやすい状態で暮らすことも大事なことです。

今後、どのような生活を送るのか、送りたいのかが明確になっていないなら、マイホームは買うべきではありません。

「掛け捨て2本立て」が、医療保険の賢い選び方

医療保険に限らず、年齢を重ねるほどに保険料は上昇しますし、既往歴がある場合には医療保険そのものに加入できないこともあります。おかしな話ですが、医療保険に加入するなら、できるだけ若く健康なうちに加入することが大切です。

医療保険は新しいタイプのものが多く登場しているので、選ぶのに迷ってしまいそうですよね。大まかな目安としては、入院日額は最低でも5000円、できれば7000~8000円は欲しいところです。医療技術は進歩していますので、先進医療をカバーするタイプのものがいいでしょう。そしてガンに備えることも大切です。ガンの保障であれば最低でも日額1万円は考えておくべきですし、年齢的に掛け捨てタイプの保険がいいでしょう。

とはいえ、これらの保障をすべてカバーしている保険は少ないですし、保険料が高額になってしまうことがほとんどです。1つの保険ですべての保障をカバーするよりも、「先進医療」をカバーしている医療保険に1本加入する。加えて「ガン保険」に加入するという2本立てでの加入をおすすめします。

1本ですべての保障をカバーした場合、解約するとすべての保障を失い兼ねません。2本に分けることはリスクヘッジとしての効果だけでなく、必要な保障を得つつ、保険料を抑えられる効果も期待できます。

医療保険の商品はバラエティに富んでいます。同じような保障であってもカバーされる内容や給付日数が違っています。単純に保険料が安いというだけでなく、どれくらいの保障がある保険なのかを見比べて、選んでいきましょう。

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