スカヨハが離婚経験、過去の恋愛、両親・子供のことを監督と話し合って作り上げた『マリッジ・ストーリー』

『マリッジ・ストーリー』スカーレット・ヨハンソン

幸せな家庭を築き子供にも恵まれた夫婦が、結婚の解消へと進んでいく様子を描くNetflixオリジナル作品『マリッジ・ストーリー』(2019年)。ノア・バームバック監督が自らの離婚経験と、公私にわたるパートナーである女優・監督のグレタ・ガーウィグからの助言をもとに作り上げたという本作は、男女の別れを描きながらもお互いの間にある不変の愛情を描く、優しくもほろ苦い恋愛映画だ。そんな本作で、監督・脚本家のチャーリー(アダム・ドライヴァー)の妻で女優のニコールを演じたスカーレット・ヨハンソンに話を聞いた。

Netflix映画「マリッジ・ストーリー」独占配信中

「監督とは、この物語を彩るあらゆることについて、たくさん話しあった」

―あなたは『アベンジャーズ/エンドゲーム』という映画史上最大のヒット作に出演していますが、2019年はこの『マリッジ・ストーリー』と『ジョジョ・ラビット』という、賞レースに絡む小規模の良作にも出演していますね。

たまたまそうなっただけなの。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)と『エンドゲーム』の撮影は立て続けに10ヶ月かけて行われていたんだけど、ちょうどその時期にノア(・バームバック監督)が『マリッジ・ストーリー』の脚本を執筆していたから、書きかけの脚本を見せてもらって意見を出したりしていて。『アベンジャーズ』のあとに違った挑戦があって、やり甲斐のある作品が待ち受けていると知ることができて、とても良かったわ。『ジョジョ・ラビット』に関しては、実は共演者のクリス・へムズワースから話を聞いていたの。彼は『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)でタイカ(・ワイティティ監督)と仕事をしていたから。それで、あの脚本が業界に出回ると、すぐに飛びついた。それで『アベンジャーズ』の撮影期間中に準備することになったの。

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―『マリッジ・ストーリー』に関してバームバック監督に、どのような提案をしたんですか?

とにかくたくさんのことを話しあった。それぞれの離婚経験のことだけじゃなくて、両親のことや、過去の恋愛のこと、子供のこととか。この物語を彩るあらゆることについて。

「お腹の中に命が宿ったときから、すべてが変わってしまう」

『マリッジ・ストーリー』スカーレット・ヨハンソン

―本作への出演を決めたのは、ご自身の結婚・出産・離婚の経験を生かせると感じたからでしょうか?

それだけじゃないな。この映画が心に響くのは、男女のあいだにたくさんの愛情が残っていることだと思う。怒りやフラストレーションや失望は感じているけれどね。わたしが演じるニコールは、それまでの人生において夫を支える選択をしてきた。それは長いあいだ彼女に満足感を与えてきたけれど、いつしか満たされないようになっていた。そして彼女にもやりたいことがあったから、悲しみや怒りを感じるようになったの。2人は10年を共に過ごし、もはや一緒にいるべきではないことを理解している。同時に、この結婚が失敗だとも思ってはいない。素晴らしい子供が生まれたわけだから。でも、2人でどうやって共同で養育していけばいいのか、相手を傷つけずに結婚をどう解消すればいいのか、分からずにいる。

2人がお互いを思いやりながら離婚を進めていくという展開は、とてもユニークだと思ったわ。とてもリアルなキャラクターで、作られた架空の人物とはとても思えない。これは、ノアが恋愛のさまざまな形を複雑なまま描いているからだと思う。

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―実際に母親になられたことで、どのような変化がありましたか?

どこがどう変わったかなんて、数値で言い表せるものじゃないわね。お腹の中に命が宿ったときから、すべてが変わってしまう。そんなことが自分の身に起きるなんて想像もしてなかった。他人のためになんでもできる。その人の幸せのためだったら、何だって投げ出せると感じる。娘が生まれるまで、そんな形の愛情を感じたことはなかったから。

さらに大きな変化は、いまこの瞬間に意識を向けられることになったことかな。子供がいると、環境をコントロールしなきゃいけないという意識が働くようになる。どんな事態も起こりえるから。そのおかげで、過去や未来に囚われず、心を目の前の現実に向けられるようになった。これは子供が与えてくれた素晴らしい贈り物ね。

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取材・文:小西未来

『マリッジ・ストーリー』はNetflixで独占配信中

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