MotoGP:ロレンソ引退やザルコ残留により体制変わる2020年。暫定ライダーラインアップを更新

 11月19日にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、2020年シーズンのロードレース世界選手権のエントリーリストを公開した。ところが、12月9日にヨハン・ザルコが来季からレアーレ・アビンティア・レーシングで参戦することが決まり、MotoGPクラスのライダーラインアップに変更が加わったので改めて紹介する。

 ロードレース世界選手権の2020年暫定エントリーリストは、チームが事前にエントリーを確定させ、最終戦バレンシアGPの決勝日の翌日にあたる11月18日にFIMが公開することになっていた。しかし、公開されたのは19日と1日遅れで、そこからさらにエントリーが入れ替わった。

 ほとんどのライダーが2019年からメーカーやチームと2年契約を締結していたため、シーズン初めには2020年のMotoGPラインアップに大きな変更はないと見られていた。しかし2020年末まで契約を結んでいたヨハン・ザルコ、ホルヘ・ロレンソ、カレル・アブラハムがチームを離れることになり2020年の顔ぶれが変わることになった。

 まずは、2019年からレッドブルKTMファクトリー・レーシングに移籍したザルコ。ヤマハYZR-M1を駆った2017~2018年は表彰台を獲得する活躍を見せたが、KTMでは成績不振に陥った。これを受けてKTMとザルコの双方が契約の途中解除に合意したため、ザルコはシーズンを半ばにしてチームを離れた。

 ザルコとKTMとの契約は2019年いっぱいまで有効となっていたが、右肩の治療に専念する中上貴晶の代役として、ザルコはLCRホンダ・イデミツからシーズン終盤の3戦に出場した。

 最終戦ではロレンソが2019年シーズンを最後にMotoGPを引退すると発表し、急きょレプソル・ホンダ・チームに空席ができた。MotoGPで6度目の戴冠を達成したマルク・マルケスのチームメイト候補にはザルコの名前も挙がったが、最終的にはMoto2チャンピオンのアレックス・マルケスが最高峰クラスへ昇格。レプソル・ホンダ・チームは、マルケス兄弟コンビで2020年シーズンを戦うことになる。

 レプソル・ホンダ・チームのライダーが確定したことにより、全チームのラインアップも確定したかに思われた。ところが、11月末にアブラハムがレアーレ・アビンティア・レーシングからの離脱を発表。12月9日には、そのシートにドゥカティとの1年契約を締結したザルコが収まると発表された。

 ザルコの後任としてKTMに加入するのは、ルーキーのブラッド・ビンダーだ。KTMのサテライトチームであるレッドブルKTMテック3からハフィス・シャーリンが離脱するため、当初ビンダーはここに収まる予定だった。しかしザルコの一件によりKTMのシートがひとつ空いたため、ビンダーがファクトリーチームに大抜擢されたのだ。

 ビンダーに代わってレッドブルKTMテック3のシートを掴んだのは、同じくルーキーのイケル・レクオーナ。彼はレッドブルKTMアジョからMoto2クラスに参戦することが決まっていたが、一連の流れを受けてMotoGPへの昇格が決まった。

 現時点での2020年シーズンのルーキーライダーは、アレックス・マルケス、ビンダー、レクオーナ。この3名が最高峰クラスのルーキー・オブ・ザ・イヤーをかけて争うことになる。

 ティト・ラバットを除く21名のライダーが2020年末までの契約となっているため、契約の切れる2021年にはライダーラインアップが大きく変更する可能性もあるだろう。

■2020年MotoGPクラス暫定エントリーリスト(12月9日時点)

No. Rider Team Motorcycle

93 マルク・マルケス REPSOL HONDA TEAM ホンダ

73 アレックス・マルケス REPSOL HONDA TEAM ホンダ

4 アンドレア・ドヴィツィオーゾ DUCATI TEAM ドゥカティ

9 ダニロ・ペトルッチ DUCATI TEAM ドゥカティ

12 マーベリック・ビニャーレス MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP ヤマハ

46 バレンティーノ・ロッシ MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP ヤマハ

42 アレックス・リンス TEAM SUZUKI ECSTAR スズキ

36 ジョアン・ミル TEAM SUZUKI ECSTAR スズキ

44 ポル・エスパルガロ RED BULL KTM FACTORY RACING KTM

33 ブラッド・ビンダー RED BULL KTM FACTORY RACING KTM

41 アレイシ・エスパルガロ APRILIA RACING TEAM GRESINI アプリリア*

29 アンドレア・イアンノーネ APRILIA RACING TEAM GRESINI アプリリア*

21 フランコ・モルビデリ PETRONAS YAMAHA SRT ヤマハ*

20 ファビオ・クアルタラロ PETRONAS YAMAHA SRT ヤマハ*

63 フランセスコ・バニャイア PRAMAC RACING ドゥカティ*

43 ジャック・ミラー PRAMAC RACING ドゥカティ*

35 カル・クラッチロー LCR HONDA CASTROL ホンダ*

30 中上貴晶 LCR HONDA IDEMITSU ホンダ*

88 ミゲール・オリベイラ RED BULL KTM TECH 3 KTM*

27 イケル・レクオーナ RED BULL KTM TECH 3 KTM*

5 ヨハン・ザルコ REALE AVINTIA RACING ドゥカティ*

53 ティト・ラバット REALE AVINTIA RACING ドゥカティ*

*はインディペンデントチームライダー

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