U2「約束の地」ペット・ショップ・ボーイズのカバーに激昂したボノ 1991年 5月11日 ペット・ショップ・ボーイズのシングル「約束の地〜君の瞳に恋してる」がリリースされた日

多くのアーティストがカバーする名曲「約束の地」

U2 の来日公演に行かれた皆さま、ファンの心を鷲掴みの圧倒のステージだったそうで、羨ましいです。私は、行けず… 毎年1月1日には U2 の「ニュー・イヤーズ・デイ」を聴くのを習慣としているくらいは好きなので、ちょっと残念でした。

今回は『ヨシュア・トゥリー・ツアー』ということで、名盤『ヨシュア・トゥリー』を再現したそうですね。いいなぁ… 私「約束の地(Where the Streets Have No Name)」が大好きです。

「約束の地」は色々なアーティストがカバーされてますが、その中でも一番有名なのはやはり、ペット・ショップ・ボーイズですよね。私は彼らのバーションも大好き。U2 の「約束の地」と「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off of You)」をミックスしちゃったカバー。この2曲の骨太ロックとアゲアゲのディスコサウンドの融合っぷりが最高なんですが、(許可を出してはいたものの)この曲を聴いてボノが激昂したというエピソードが特に大好きなんです。

ロック野郎 ボノが「約束の地」に込めた熱い思い

今や、ノーベル平和賞ノミネートの経験があるボノですが、ペット・ショップ・ボーイズの “使われ方が気に入らない” ってくらいで激昂して、絶交するっていう “人間らしさ” の方が私にはボノっぽくて、熱くって好きです。しかも、「約束の地」はボノ思いが詰まっていて、ご両親が恋に落ちた時に、カトリックとプロテスタントで宗派が違うためにアイルランドでとても苦労されたらしく、そういった宗教や人種の境の無い場所=名前のない道への望みを願った曲だという話も聞いたことあり… 怒りも心頭だったようです。ね、ボノっぽいでしょ。

熱くて、ちょっとダサいくらいのロック野郎のボノ。シンプルで直接的なメッセージを私達にぶつけてきたボノっぽい、このエピソードは彼の思いの熱さを感じて、むしろ “ふふっ♡” … ってなります。

ペット・ショップ・ボーイズが「約束の地」をカバーした理由?

これだけ聞くと、ペット・ショップ・ボーイズが U2 をおちょくったように感じちゃうんですが、実は、この曲「シリアスリー(How Can You Expect to Be Taken Seriously?)」と両A面で発売されてて、ぺット・ショップ・ボーイズがポップスターが環境問題とかを問題視してしてブームにするけど、すぐに興味を失って一過性のものにしてまうことや、ロックの殿堂に入ることが目的になって、ファンに対してのメッセージを持たなくなっていることをシニカルに歌っている曲なんです。

なので、本当は U2 に対してちょっと物申したかった所もあるのかな… なんせ、このアルバムがリリースされたのは U2 の『アクトン・ベイビー』が出た年なので、変わっていくこの頃の U2 サウンドを寂しく思ったりもしてたかも… なんてこそっと思ってます。

互いにリスペクト? 仲を取り持ったのはエルトン・ジョン

その後、彼らはエルトン・ジョンの別荘呼ばれ、仲直りして、3人でエルトン姐さんちのプールに飛び込んだとか!(エルトン姐さん、どこまでロックに貢献しているんだか!! もう、大好きです!)流石のエルトン、お互いの音楽に対する真摯な思いをちゃんと理解していたんだなぁ。

最近知ったのですが、実はボノ、ペット・ショップ・ボーイズバージョンを聴いた時「What have we done to deserve this」って言ったそうで… これ、ペット・ショップ・ボーイズとダスティ・スプリングフィールドとのデュエット「とどかぬ想い(What have I done to deserve this?)」を上手いこと “もじった” 一言。これ、ちょっと出来過ぎのエピソードだとは思うんですけどね… でも、クリスがその一言に対して「彼ってユーモアがあるよね」なんて言ってるし、その後、ボノもコンサートとかで「約束の地」のペット・ショップ・ボーイズヴァーションを演奏したこともあるとか!なので、なんだかんだ、お互いにリスペクトしている部分はあるのかもしれませんね。

私は、U2は『アクトン・ベイビー』以降あんまり聴かなくなってしまって、「約束の地」はニールの声の方を断然多く聴いているくらい。今ではむしろニールヴァージョンの方が好きかも。もちろん、U2 だってやっぱり大好きだし、これからも新年には「ニュー・イヤーズ・デイ」を聴き続けます。

今回、コンサートに行ってたら、また、ボノへの気持ちも更新されたかも… なのですが、行けなかったので私の中のボノは “ちょっとダサい” ボノのまま。でも、そんな彼こそが好きなので、しばらくこのままでいてみようかとも思う私なのです。

カタリベ: ユリンベ

© Reminder LLC