長崎駅新ビル計画 マリオット会員1.3億人 集客力に期待 JR九州社長 商業施設「個性出す」

 JR長崎駅(長崎市尾上町)の新駅ビル計画概要発表会見で、JR九州の青柳俊彦社長は、外資系ホテルの高い集客力による新しい需要喚起に期待を示した。商業施設については「長崎にないテナントも含めて地元のニーズに応え、個性を出す」とした。

 JR九州は昨年、初の海外ホテル事業参入先としてタイに進出し、マリオット・インターナショナルのブランドを採用。両社の関係はこれ以来始まった。JR九州は国内に自社最上位ブランド「ザ ブラッサム」があるが、マリオットの会員数は世界1億3千万人。青柳社長は「ブラッサムで『一つ上のクラス』を展開する手応えを感じた。これからインバウンド(訪日外国人)を迎えるには、大きな組織も活用していく必要がある」と語った。
 契約前だが「四つ星や五つ星のアッパークラスを想定している。ヒルトンと同等のホテルにしたい」と述べる一方、富裕層だけでなく、国内外の幅広いニーズに応える意欲を示した。
 既存のアミュプラザ長崎に新駅ビル、高架下を加えた商業エリアは計8万4千平方メートルで2.15倍の増床となる。テナントは未定だが、青柳社長は他県の主要駅ビル開発実績を引き合いに「それぞれの地域にないものや有名なものを混ぜて個性を出し、評価されてきた」と強調。長崎でもその方向性を踏襲するとした。
 外観も「国際観光都市にふさわしい」(青柳社長)個性を出す。ホテルを俯瞰(ふかん)するとV字形で、教会群を踏まえ「天使の翼」をイメージ。アミュプラザ長崎と新駅ビルの間には、帆船や地元名物「ハタ」をモチーフにした大屋根を設置する方針という。
 九州新幹線長崎ルートは在来線と乗り継ぐ「リレー方式」による暫定開業を予定。県やJR九州が求める全線フル規格は、佐賀県が難色を示し実現の見通しが立っていない。青柳社長は「駅周辺整備がうまく進むことによって『フル規格で開業すべき』との意見が出てくるよう努力したい」と述べた。

新駅ビルの模型を前に会見する青柳社長(左)と田上市長=長崎市役所

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