イオンが「恵方巻」予約をクリスマス前に始めた理由

イオンリテールが2020年に発売する恵方巻の予約受け付けを12月13日に開始しました。前回は12月26日に予約開始でしたが、今回は約2週間も早まっています。

クリスマスが終わる前に、早くも恵方巻の予約を受け付けるのは、どのような理由があるのでしょうか。メディア向け発表会の内容から探ります。


予約で5%値引く「早得価格」も

今回販売する恵方巻は、7種類を新たに追加。予約カタログに掲載する商品数が、昨年比2.3倍となる30種類に増加しています。

牛肉をメインとした恵方巻「加藤牛肉店監修 黒毛和牛贅沢巻」(1,280円、税別、以下同)や、ミシュランガイド9年連続「3つ星」の店が監修した「鮨よしたけ監修 招福海鮮恵方巻」などをラインナップ。

健康志向の高まりを受けて、糖質を30%抑えたしゃりが特徴の「1日の1/3の野菜が摂れるサラダ巻」(980円)も販売します。

予約開始は、例年より2週間前倒しとなりますが、予約終了日は2020年1月29日と変更なし。つまり、予約期間が2週間延長される形です。

さらに、予約開始日から2020年1月10日までの予約を対象に、予約価格から5%値引く「早特価格」を導入します。

予約増で恵方巻の廃棄数を減らす

こうした取り組みで同社は、2020年は恵方巻の売り上げ全体に占める予約の割合を、前年の約2倍となる35%とする目標です。

日程の前倒しなど、予約強化をする背景にあるのは、社会的な問題になっている恵方巻の大量廃棄です。

デリカ商品部の鈴木雅光さんは、「ほとんどの恵方巻商品を予約対象にしたことで、購買者のニーズを把握し、それに応じた個数を店頭でも提供する」と説明します。

また、恵方巻の試食会を販売店舗全店で実施する予定で、「予約割合を拡大させることで、廃棄数などの不確定要素を減らしていきたい」(鈴木さん)。恵方巻きの廃棄率は、昨年の半分にする目標です。

ハーフサイズで単身者も狙う

予約強化のもう一つの目的が、売り上げ目標の達成です。2020年は、昨年とほぼ同じ売り上げ目標を設定。一見、下方修正したように思われますが、そこには「曜日めぐりの悪さ」があると鈴木さんは説明します。

昨年、節分の日は日曜日でしたが、2020年は平日である月曜日のため、売り上げの落ち込みが予測されます。

対策の1つとして、通常の半分の長さである「ハーフサイズ」での予約可能商品を、昨年より10種類多い13種類に増やしました。鈴木さんは「今まで敬遠されていた、単身者など新たな購買層を拡大していきたい」といいます。

早くも始まった恵方巻の予約。予約の割合を増やすことで、大量廃棄を食い止めることができるでしょうか。

<文:川高元輝>

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