前回王者・張本、マッチポイント握るも世界ランク1位・許昕に惜敗<卓球・グランドファイナル>

写真:張本智和/撮影:ラリーズ編集部

<ITTFワールドツアーグランドファイナル 2019年12月12日~12月15日>

13日、ITTFグランドファイナルの男子シングルス準々決勝に張本智和が登場し、世界ランキング1位の許昕(シュシン・中国)と対戦。ゲームカウント4-3で許昕が勝利した。張本は3度マッチポイントを握ったが惜しくも敗れた。

勝利した許昕は梁靖崑(リャンジンクン・中国)と馬龍(マロン)の勝者と決勝進出をかけて14日戦う。

張本、許昕との大激戦の末敗れる

写真:倉嶋監督の指示を聞く張本/撮影:ラリーズ編集部

1回戦では張本はパトリック・フランチスカ(ドイツ)をゲームカウント4-0で下し、準々決勝に進出した。張本は許昕と5回対戦しいまだ勝ち星を挙げたことがなく、中国トップ選手の中で唯一勝利したことがない。

試合は序盤許昕の中陣からのラリーをしっかり粘り、互角の戦いを展開していくが、許昕の切れたストップに対しミスが出始め、1ゲーム目は11-6で許昕が先取する。

写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

2ゲーム目、張本は許昕のストップに対し自信のあるチキータで攻め、ストップさせないようロングサーブを使う。ラリー戦でもクロスではなくストレートを突くことで一進一退の攻防を繰り広げ、ゲームポイントを握る。10-9となったところで、張本側はタイムアウトを取り、早めに勝負を仕掛けるが許昕にしのがれデュースに突入。しかし最後はロングサーブを選択し、14-12で2ゲーム目を奪い返した。

1-1で迎えた3ゲーム目、ブロックで振り回すものの、十分な状態で打つ許昕のドライブに対しブロックが抑えきれずオーバーしてしまう。ロングサーブも待たれフォアで回り込まれる苦しい展開が続き、5-11で落としてしまう。

写真:許昕/撮影:ラリーズ編集部

4ゲーム目はバック側にボールを集め、フォアを打たせない戦法で流れに乗り11-3で取り返し、ここまで世界ランキング1位に対し互角の勝負を繰り広げる。流れを変えたくない張本は前陣に張り付き、許昕のドライブに対してブロックだけでなくカウンターで狙いリードする。終盤追い上げを許すものの、チキータで最後は決め11-9と5ゲーム目を奪取し、勝利まであと1ゲームとする。

写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

6ゲーム目、張本が3-0とリードしたところで許昕側がタイムアウトを要求。タイムアウト明け、気合いを入れ直した許昕がフットワークを生かし5-5と追い付く。その後、9-9から張本が3球目を決めマッチポイントを握るがここも許昕が粘りデュースに突入。そして最後はロングサーブを読み切り13-11で許昕が奪い最終ゲームにもつれ込む。

写真:最終ゲーム前、手首を痛めた様子を見せる許昕/撮影:ラリーズ編集部

最終ゲーム開始前、許昕が手首の痛みを訴え、メディカルタイムアウトを要求。一時試合が中断する。再開後、張本は攻めの姿勢を見せ、5-1とリードしコートチェンジ。ここから許昕は手首を痛めているとは思えないドライブを連発し6-6と追い付く。最終ゲームも一進一退の攻防が続き、サーブから互いに点数を奪い合い、このゲームもデュースに突入。最後は張本のバックハンドがネットにかかり、許昕がゲームカウント4-3で大激戦を制した。

写真:負けた瞬間思わず座り込む張本智和/撮影:ラリーズ編集部

試合後のコメント

写真:負けて苦笑いの張本智和/撮影:ラリーズ編集部

張本は試合後「涙を通り越して笑うしかない。ワールドカップからすごく調子もよくて、誰と当たっても競れる自信はあった。2ゲーム目、競り合いができたので、今日もいけるかもしれないと感じた。負けはしたが全体的に自分の方が押してた。それでも勝ち切れないのは相手が良かった。自分はそれよりももっと良くしないといけない」と激戦を振り返った。

「マッチポイントは取ったが、あと1点を取れる気はしない感じだった。(6ゲーム目は)10-9でちょっと急いでサーブを出してしまって、台から出て、(最終ゲーム)10-8も相手サーブ2本で、レシーブは悪くなかったが『悪くない』ではだめ。『良い』になるまで練習が必要」とマッチポイントの場面についてコメントを残した。

敗れはしたものの、前回王者の意地を見せ、世界ランク1位の許昕を追い詰めた張本。価値あるベスト8となった。

詳細スコア

写真:許昕(中国)/撮影:ラリーズ編集部

張本智和 3-4 〇許昕(中国)
6-11/14-12/5-11/11-3/11-9/11-13/11-13

文:ラリーズ編集部

© 株式会社ラリーズ