覚醒剤押収量、4年連続1トン超 密輸手口が多様化 

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天草海上保安署の巡視艇「あそぎり」にえい航される密輸船(右)=13日午後1時35分すぎ、天草市魚貫町の海上

 熊本県天草市の魚貫[おにき]港の漁船から11日、密輸とみられる覚醒剤約600キロが押収された。財務省によると、国内の覚醒剤の押収量は2018年まで3年連続で1トンを超え、今年は上半期で既に1・46トン(末端価格876億円)と、危機的な状況だ。

 同省によると、昨年の覚醒剤事件の摘発は171件。大麻の230件、麻薬の229件より少ないが、押収量は1156キロで、大麻156キロ、麻薬165キロを大きく上回る。今年上半期の摘発は、前年同期の約3倍の207件、押収量も3倍近くに増加している。

 密輸手口の多様化が一因だ。昨年の摘発は「航空機旅客」92件(前年比7件減)、「国際郵便物」52件(同14件増)、「商業貨物」24件(同13件増)など。海外旅行客が「運び屋」になるケースもあった。

 警察庁によると、全国で昨年、覚醒剤に絡み摘発されたのは9868人で、全薬物摘発者(1万3862人)の7割。県内でも全ての薬物摘発者166人のうち、8割の133人が覚醒剤だった。

 合同捜査本部には第7(九州北部)、第10(九州南部)、第11(沖縄)の各管区海上保安本部も参加。第7管区の幹部の1人は「一度に大量の密輸が可能な麻薬の瀬取り取引は、20年ほど前から増加。九州沖縄の海域は離島が多く、狙われやすい」と指摘する。

 13日午後1時すぎ、海上保安庁天草海上保安署の巡視艇「あそぎり」が、密輸船を魚貫港からえい航し、牛深港に移した。捜査関係者によると、密輸船は宮崎県籍で、同県から出港したという。

 熊本県沿岸警備協力会長の浜悦男・天草漁協副組合長は「この数年、不審船の目撃情報はなかったが、事件に驚いている。警戒を呼び掛けたい」と話した。(丸山宗一郎、谷川剛、赤池一光)