社説[辺野古土砂投入1年]沖縄県独自の検証委設置を

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 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が海に土砂を投入し始めてから、きょうでちょうど1年になる。

 その前から続く米軍キャンプ・シュワブゲート前での反対派による抗議行動は、きょうで1987日を数える。

 この間に知事選、国政選挙、県民投票があり、いずれの投票においても反対の民意が明確に示された。だが国の強引な手法は少しも改まっていない。

 海域東の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事のため、政府は早ければ来年1月にも、県に対し、設計変更を申請する考えだ。

 6月には県議選が予定されている。辺野古問題は司法の場で争われている訴訟の最高裁判決を含め、年明けから重要事案がめじろ押しだ。

 土砂投入に至る過程で明らかになったのは、さまざまな関連法規が国の一方的な解釈によって骨抜きにされ、県との事前協議なしに、県の合意もないまま、作業が進められてきたことである。

 埋め立て承認の際の留意事項は「実施設計について事前に県と協議を行うこと」などのほか、「ジュゴン、ウミガメ等海生生物の保護対策の実施について万全を期すこと」を求めている。

 ところが防衛局調査で本島周辺に生息することが明らかになったジュゴン3頭のうち1頭が死んでいるのが見つかり、残る2頭は行方不明のままだ。

 国際自然保護連合(IUCN)はついに、南西諸島のジュゴンを絶滅の危険度が最も高い「絶滅寸前」の種に引き上げた。

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 日本自然保護協会は11日、政府に対し、埋め立て工事を一時中止し、環境への影響を再評価するなど緊急対応を求める声明を発表した。

 私たちはこの声明に全面的に賛同する。留意事項を誠実に実行する意思があるのなら、ジュゴンの絶滅を防ぐための対応こそ急ぐべきだ。

 政府は、専門家でつくる環境監視等委員会のアドバイスを受けながら作業を進めている、と言うが、いま必要なのはその委員会の公正性、中立性の検証だ。

 軟弱地盤の改良工事にあたっても、政府は土木工学などの専門家による技術検討会を発足させた。

 有識者からお墨付きを得て客観性をアピールし、政策を推進する-その手法は安倍政権の特徴である。

 しかし委員会の透明性は不十分で、説明責任も尽くしたとは言えない。

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 県には、政府による設計変更申請を待つのではなく、内外の専門家による検証委員会の立ち上げを提案したい。

 環境監視委や技術検討会で配布された資料と委員発言の全てを公開させた上で、科学的根拠に基づいた評価がなされているのか、独自に検証し、設計変更申請に対する判断材料にするのである。

 琉大名誉教授だった故東清二氏が環境監視委の副委員長を辞任したのは、この委員会では環境は守れないとの理由からだった。

 受け身の対応では事態は打開できない。