中村医師、17年前に小国で講演

当時の生徒、真偽見る大切さ学ぶ

©株式会社山形新聞社

中村哲さんの功績を伝える新聞記事を手にする佐々木園さん。17年前に講演を聴いていた=小国町・基督教独立学園高

 アフガニスタンで人道支援活動を続け、銃弾に倒れた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲(てつ)さん(73)。17年前、小国町の基督教独立学園高で講演し、事実を自分の目で確かめることが大切と訴えていた。当時の生徒は「言葉は人生の道しるべとなった」と中村さんに思いをはせ、その死を悼んでいる。

 中村さんが同校を訪れたのは2002年3月11日。第52期生の卒業記念講演会だった。学びやを巣立つ日が迫る3年生25人が希望し、学校として依頼。一度は断られたものの生徒有志で手紙を送り承諾を得た。3年生で、中村さんを呼ぶ活動の中心だった岩崎桃さん(36)=横浜市=は「自分を含め海外協力に関心のある生徒が多く、何とか中村さんの話を聞きたかった」と述懐する。

 「メディアが伝える情報は一部。真偽は自分の目で確認するしかない」。中村さんは、生徒たちにこう訴え、現地での医療活動や井戸掘り作業の様子を語ったという。現在、教育関係の仕事をしている岩崎さんは、実体験に裏打ちされた重みのある言葉をはっきりと覚えている。「自分は大学卒業後、歴史認識の違いを知ろうと韓国で日本語を教える仕事に就いた。背中を押してくれたのは、中村さんの言葉だった。おかげで世界が広がった」

 現在、同校で社会科教諭を務める佐々木園(その)さん(35)=小国町=も当時の3年生の一人。大学卒業後にタイで山岳少数民族を支援するNGO活動に関わった。「現地の人たちのことを考え、井戸を掘った中村さんは、国際援助とはどうあるべきかを教えてくれた」と振り返る。

 同校では講演の後、ペシャワール会への献金をスタートさせた。手作り菓子を学校行事で販売した収益を毎年託し続けている。訃報を受け、校内での礼拝後、生徒の一人が「ペシャワール会の中村さんが亡くなりました。その心を覚えていてください」と呼び掛けたという。

 「ああいう生き方をした人がいることを改めて生徒に知ってほしい」と佐々木さん。岩崎さんは「中村さんのまねはできないが、学んだことを次の世代に伝えていきたい」と決意を新たにしていた。