阿蘇神社復旧「自分の力で」 解体作業に参加、修業の日々 宮大工見習の内田さん(球磨工高出身) 熊本地震

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球磨工高の後輩らに部材の説明をする内田祐汰さん(右)=10日、阿蘇市の阿蘇神社

 熊本地震で被災した阿蘇神社(阿蘇市一の宮町)の復旧に、少しでも力になりたいと願う宮大工見習がいる。球磨工高(人吉市)出身の内田祐汰さん(18)=福井県永平寺町=は、2年前に同神社の復旧現場を見て宮大工への道を進むことを決心。「古里の復興に関わろう」と修業の日々を送る。

 小さい頃から工作が好きだった内田さんは、球磨工高の学校説明会で体験した「かんな掛け」を気に入り、熊本市北区の実家を離れて同校建築科に進学した。

 2年生の秋、授業で阿蘇神社を訪れたのが転機となった。屋根が崩れ落ちた国重要文化財の楼門を目の当たりにした。「ニュースでは知っていたが、ぺしゃんこの状況に驚き、悲しくなった」

 一方、社寺建築を手掛ける福井県の藤田社寺建設が進める復旧作業に触れ「自分も力になりたい」と強く思った。

 今春、その会社に就職し、思い出の阿蘇の地を踏んだのは10月中旬。翼廊[よくろう]の解体作業に1カ月間参加した。文化財の復旧では、元の材料をできる限り使うのが基本。解体では木材を傷つけないように細心の注意を払った。部材が使用されていた箇所や向き、工法…。再び組み立てる際の参考にする上でも、何一つおろそかにできなかった。

 現在は、福井県で全国から受注した部材加工に従事する。社会人1年目は知らないことだらけ。先輩が教えてくれることもあるが、そこは職人の世界。先輩の仕事を盗み見ることも必要だった。

 先日、後輩たちの阿蘇神社見学時に、会社の計らいで説明役を務めた。人前で話すことは苦手だが、「夢に向かってやるべきことを考えて。一緒に仕事ができればうれしい」と言い切った。

 夢は、阿蘇神社の復旧で宮大工を取り仕切る棟梁[とうりょう]のようになること。「熊本には地震で被害に遭った建物がたくさんある。一つでも多くの復興に携わりたい」と腕を磨くつもりだ。(阿蘇総局・山下友吾)