徳川家の昭和初期映像デジタル化 宗敬、華族の日常捉える 県立歴史館で公開

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県立歴史館で公開している一橋徳川家のホームムービー=水戸市緑町

昭和初期に一橋徳川家の徳川宗敬(むねよし)が撮影したとみられるホームムービーがデジタル化され、水戸市緑町の県立歴史館で公開されている。子どもたちが室内外で遊ぶ姿を、父親の目線で追うかのような、ほのぼのとした映像が満載だ。海水浴や親類の結婚式などの様子も収録されており、当時の華族の日常を捉えた貴重な史料となっている。

ホームムービーは一橋徳川家から同館へ寄贈されていた収蔵史料で、9.5ミリフィルム5リール(約18分30秒)と16ミリフィルム1リール(約22分30秒)の2種類。これまで何が撮影されているのか分からなかったが、今年、フィルムの復元などを専門に行う都内の業者に依頼し、デジタル映像化に成功した。同館で映像の登場人物や場所、月日の概要を調べ、今回、初めて一般に公開した。

9.5ミリフィルムには、主に、東京・小石川に新築した洋館の自宅で遊ぶ家族の様子が収められていた。宗敬の妻・幹子(もとこ)、息子・宗信、娘の美代子、伊津子らが主役として登場。幹子の実家である池田家の関係者も多く見られる。

カエルのおもちゃや犬の縫いぐるみで遊ぶ宗信▽雪だるま作りやヨーヨーを楽しむ美代子と伊津子▽羽子板で遊ぶ子どもたち3人-など、ほほ笑ましいカットが次々と流れる。撮影者の子煩悩ぶりを感じることができる。

16ミリフィルムは自宅以外の映像が主。鎌倉で海水浴を楽しむ家族の様子や、親類の結婚式、ゴルフに興じる徳川圀順(くにゆき)(宗敬の兄、水戸徳川家当主)の姿などが撮影されている。映像には、幹子の弟に当たる池田徳真が留学に出発する様子や、同じく弟の朽木綱博の結婚式が収められ、撮影されたのは昭和6、7(1931、32)年ごろと推測される。

同館の石井裕主任研究員は映像について「戦前の華族の日常の生の姿が伝わる貴重で希少な映像」と話す。映像には、昭和初期に運転を開始した超特急「燕」号なども登場し、当時の社会情勢なども読み取れる興味深い史料となっている。

映像の合間にはコマーシャルも挿入されており、制作者の創作意欲を感じさせる。映像に宗敬が全く登場しないことから、撮影したのは宗敬本人とみられる。宗敬はカメラが趣味で数多くの写真を残しており、今回の映像と共通する写真もあるという。

ホームムービーの映像は、同館で開催中のテーマ展(3)「近代茨城の群像-新時代を生きた人びと-」の一環として22日まで公開されている。(藤田裕一)

★徳川宗敬(とくがわ・むねよし、1897〜1989年)
水戸徳川家12代当主篤敬の次男。後に一橋徳川家の養子となり同家を相続。最後の貴族院副議長で、サンフランシスコ講和会議で全権委員を務めた。妻の幹子(もとこ、1902〜96年)は鳥取池田家14代当主仲博(徳川慶喜五男)の長女で、戦後、全国開拓者連盟婦人部の初代部長などを務めた。

徳川宗敬