年に一度の祭典「マツダファンフェスタ」、開発者も圧倒されるオーナーたちの熱量

去る11月23日から24日の両日、岡山国際サーキットに多くのマツダの名車とファンが集結した「マツダファンフェスタ」を取材してきました。今年、生誕30周年を迎えたロードスターを始め、ル・マン24時間レースの優勝マシン、ロータリーを搭載した名車が実際に走行するなど楽しさ満載の“マツダファンの祭典”とは、どんなものだったのでしょうか


全国から熱きマツダファンが終結

国産メーカーはもちろん、輸入車メーカーのオーナーさん達が全国から集うイベントは一年中、全国のどこかで開催されていると言っていいでしょう。個人的にはどのクラブにも属していませんし、イベント取材の依頼がない限りは、ほとんど参加することはありません。それでも今年はマツダ車オーナーたちにとって年に一度の大規模な祭典「マツダファンフェスタ」への誘いがあり、早速11月23日から24日の二日間開催のイベント取材に出掛けてきました。

場所は岡山県にある岡山国際サーキットです。過去にF1も開催されたサーキットで現在も多くのレースが開催されています。ここを二日間、マツダファンのために貸し切りとし、マツダ協賛で行われる大規模なイベントです。こうしたサーキットイベントは総じて朝が早く、私がサーキット入りしたのは午前3時。もちろん一番乗りではありません。すでにトランスポーターに古いマツダ車を搭載した人や、磨き上げた愛車で駆けつけた人たちがサーキットのゲートを続々とくぐり抜けていきます。

夜が明ける前から続々とオーナーや参加者たちが集まってきます

正式なイベント開催時間は午前8時からですから、まだまだ時間がありますが、集まった人たちは思い思いにコンビニで買ってきたおにぎりなどを頬張りながら時間を過ごします。また初日の23日(土)に今年30周年を迎えたロードスター(年式は問わず)で来場した先着250台までの人は、この日の最終プログラムとして行われる「ロードスター生誕30周年記念パレードラン」に無料で参加できるのです。当然、この日はロードスターが特に目立っていました。

ファンの間で「NA」と呼ばれる初代モデルから、最新の「ND」までの4世代に渡るロードスターがどんどん駐車場に並んでいきます。もちろんノーマルもあれば自分なりの演出を施した“注目度最優先の車”、さらにはガッチガチにカスタムを施された超個性派まで、オーナーたちの思いと愛情がたっぷりと詰まったロードスターがズラリと並んで行くのです。

その中身を見ると親子、カップル、友人同士など、オーナーたちのスタイルはまったく違いますが、隣り合わせたオーナーさん達はすぐに打ち解け、話が始まります。

カップル、夫婦、親子などロードスターのオーナーさん達は個性豊かでした

誰もが笑顔で、どこか誇らしげにロードスターから降り立ち、すぐに交流が始まるのです。ちなみにこのイベントの観戦券は前売りで土日通しが3,300円、土曜日のみが2,200円、日曜日のみが2,750円。さらに駐車料金1,100円などがかかりますが、皆さん、年に一度のお祭りですから「あまり気になりません」という意見が多くありました。それよりも実際のサーキットを自分の車でパレードランが参加出来たり、全国から集まったユーザーたちとの触れ合いを心から楽しみにしている様子です。

終日楽しめるコンテンツ

こうしてオーナーさん達の触れ合いや続々集まってくる車を眺めているうちに開催時間になりました。すっかり明るくなり、気温も上がってぽかぽかとしてきました。ピットの裏手にあるパドックに並んだ有名ショップや日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会(NAPAC)の会員企業ブース、もちろんご当地グルメの屋台などがズラリと並んでいます。また、マツダモータースポーツ情報を配信する「MZRacing」のブースも出ていてマツダファンフェスタ限定のオリジナルグッズの販売なども行われています。

有名なカー用品メーカーから、ご当地グルメの屋台までパドック内はまさにお祭りの雰囲気が充満

まだあります。サーキット内のミニコース会場では、マツダの車を「もっと身近に感じていただくために、クルマづくりへのこだわりや造り手と直接触れ合える体験の場」として「Be a driver. Experience コンテンツ」が用意されていました。メーカーが協賛するということもあり、マツダの全面的な対応によるコンテンツを楽しむことが出来ます。こちらにも開催と同時に多くの人たちが参加していました。この他にもステージイベントにサーキットのレースクイーンたちが登場したりと、盛りだくさんのイベントを、一日中楽しむことが出来ます。

サーキットのレースクイーンたちも終日イベントに参加して華やかな雰囲気の演出に一役買っていた

マツダの技術的アイコンのひとつと言えば当然、ロータリーエンジンですが、今回はレーシングロータリー・エンジンの開発者として知られる松浦國夫氏、さらにはロータリースポーツの語り部として元RX-8主査の片渕昇氏らの貴重な証言が詰まった“特別講座”もあり、とにかく大盛況。

現在はロータリーエンジン搭載の市販車はありませんが、いまだに多くのファンの、ロータリーエンジンに対する熱い想いが充満していたのでした。松浦氏は「ファンの多くが新世代REを求める強烈な熱量を感じた」とコメントしていましたし、RX-8元主査の片渕氏は「熱狂的なREファンの思いは現在も進行形で続いている」と人々の思いを感じ取っていたようです。

そして午後、ひととおりサーキット走行イベントなどを終えたところ、今度は名車によるデモランが始まりました。過去から現在までのモータースポーツシーンで活躍を続けるてきたマツダ車が本格的な岡山国際サーキットをデモランするのです。のんびりとしたデモランではなく、それなりに高速で新旧のマシンが入り交じって走るのですから、かなり見応えのあるデモランとなります。

パドックには新旧のマツダ車がズラリと揃い、走行の出番を待っている

中でも楽しみでもあり、メインイベントの一つでもあるのが、1991年、ル・マン24時間を制したマツダ787Bが“世界一美しいエンジンサウンド”と呼ばれる咆哮を轟かせるデモランです。今年もミスター・ルマンと呼ばれる寺田陽次郎氏のドライブで独特のサウンドを響かせていました。さらにこの787Bと、90年にル・マンでクラス優勝した767Bがランデブー走行し、会場は大盛り上がりです。

1991年のル・マン24時間レースで総合優勝を飾った787B(55号車)と、前年の90年にル・マンクラス優勝を遂げたMazda 767B(202号車)が続く

こうして初日のイベントは終了しました。二日目も同様の内容で行われたのですが、久し振りに車好きに囲まれての取材は、こちらも楽しいものとなりました。来年、100周年を迎えるマツダですが、さらに盛り上がることは間違いないと思います。さて今年は他にBMW本社公認のBMWクラブジャパンさんのイベントに参加もしましたが、車が好きという同じ思いを抱く人たちと過ごす時間はやはり楽しいものでした。

観戦券や参加費はそれなりにかかったりしますから、無理強いは出来ませんが、愛車のメーカーのファンイベントにどんなものがあるのかを検索してみるだけでも楽しいかも知れません。

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