インディカー・シリーズで10年目を走り終えた佐藤琢磨が、その報告も兼ねて師走恒例の「Takuma Club fan Meeting」を12月14日に渋谷区の山野ホールで行った。
F1参戦時代からこのファンイベントを続けている琢磨は、2010年からインディカーに出場して10年目を過ごした2019年シーズンはひとつの節目だ。
琢磨ファンもF3時代からずっと追い続けるファンから、インディ500優勝をきっかけにファンになった新世代まで幅広い層が集まり場内を埋めた。
イベントは前半に2019シーズン振り返りと質問コーナー、プレゼント&じゃんけん大会が続き、後半は来場したファン全員と握手をする握手会の2部構成。
スクリーンには今シーズン17戦すべてがダイジェストが流され、琢磨が自ら解説を加えた。
2勝を挙げ、2度のポールポジション、2度の3位入賞と自己最高のリザルトを残しながら、ランキング9位に沈んでしまった今シーズン。
インディカーで初めてのポール・トゥ・ウインを果たしたバーバー・モータースポーツパーク(アラバマ)、シーズン2勝目となったゲートウェイ(イリノイ)では場内から大きな拍手が起きつつ、ピットでオーバーシュートしてしまったテキサスや、1周目のアクシデントでクラッシュゲートにされてしまったポコノなども自らの言葉で丁寧にその模様を解説した。
「ポコノのクラッシュの後には、信じられないくらいのバッシング(非難)を浴びました。普段はSNSで反論することなんてないのですが、今回は自分の意見を初めて返したら、その何百倍も返ってきた」
「本当に体重も落ちてしまい、炎上もしてしまったけれど、僕の説明でわかるファンはわかってくれてたし、次戦のゲートウェイで『お前は悪くない』って言ってくれるファンが多くてうれしかった」
「もちろん日本からのメッセージも届いていたし、その気持ちがうれしかった。チームも僕をサポートしてくれてゲートウェイで勝つことができました。本当にありがとうございました」と改めてファンにサポートの礼を伝えた。
また質問コーナーでは“今年一年を漢字一文字で表すと何?”という問いに「う~ん、やさしいの『優』かな。今年のポコノのこともそうだし、チームやサポートしてくれるみんなの気持ち、優しさが伝わって身に染みた1年でした」と語った。
じゃんけんと抽選のコーナーではファン必見のアイテムが続々出品。2019年からスポンサーとなったヤクルト1000が商品となったり、琢磨がシーズン中に身につけていたグッズやアイテムが、どんどんファンに放出された。
キッズ賞をじゃんけんで勝ち抜いた少年はグリコの商品を手にすると「お母さんが琢磨さんのファンで一緒に来ました。初めて身近で見てかっこいいと思いました」と場内の笑いを誘った。
その後、来場者全員と握手を終えると、インディカーの10周年を振り返るVTRが流され締めくくる。
「もうロードコース、ストリート、オーバル、どんなコースでも勝てることを証明できたし、準備が整ったという感じですね。2020年はレギュレーションも変わり、頭部付近にはスクリーンも付いて、マシンのフィーリングも変わってくる」
「もしトニー・カナーンが来年全戦出場しないと、フル出場するドライバーの中では、僕が最年長になるかもしれない。まだスピードで劣っているとは思わないし、今までの経験を生かして2020年はシリーズチャンピオンを目指して戦いたいですね」と熱烈ファンの前で、新たにタイトルへの挑戦を誓った。