準優勝の水谷/伊藤、中国ペアの強さ語る 「許昕の球は“J”くらい曲がる」<卓球・グランドファイナル>

写真:水谷隼(写真奥)・伊藤美誠/撮影:ラリーズ編集部

15日、中国・鄭州で行われたグランドファイナル混合ダブルス決勝で、水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)ペアが、中国の許昕(シュシン)/劉詩雯(リュウスーウェン)ペアにゲームカウント2-3で敗れた。2ゲームを先取し勝利に王手をかけてから3ゲームを連取される悔しい逆転負けとなった。

ダブルスの名手・許昕/世界卓球女王・劉詩雯ペアが立ちはだかる

写真:表彰式での許昕(写真左)・劉詩雯ペア/撮影:ラリーズ編集部

許昕/劉詩雯は、中国が誇る名ダブルス。今年の世界卓球では日本の吉村真晴(名古屋ダイハツ)/石川佳純(全農)ペアを決勝で下し、優勝を果たしている。水谷/伊藤ペアも10月のスウェーデンオープン決勝で対戦し、ゲームカウント2-3で惜敗している。

リベンジを懸けた試合前、伊藤は「勝ったことない相手なので思い切ってできる。東京五輪の決勝戦だと思って楽しんで気を引き締めていきたい」と話していたが、苦杯を嘗めることとなった。

写真:水谷・伊藤ペア/撮影:ラリーズ編集部

敗れた後、伊藤は「3ゲーム目は全然打ってこなくて、“決めに”でなく“ミスをさせに”きた。劉詩雯選手が前について、許昕選手は(位置は)変わってないが、ドーンと強い球でなく、タメがあってグワーンとした球を打ったりと戦術の幅を感じた。ほんとに(点数の)取り方がいやらしいし上手い」と中国ペアの戦術転換に舌を巻いた。

水谷も「(3ゲーム目以降)美誠がレシーブのときに2人ともサイドスピンを入れるようになってきた。許昕選手もチキータが多くなってきて、サーブレシーブで先手を取るような展開をしてきた。そこで上手く対応できなかった」と中国ペアの戦術に対応が遅れたことを反省点として挙げた。さらに「競れば競るほど許昕選手の動く範囲も広くなってるし、凡ミスもしない」とダブルスでの許昕の強さに脱帽した。

許昕の唯一無二のボール「“J”くらい曲がる」

写真:許昕は独特の変化をする唯一無二のボールを放つ/撮影:ラリーズ編集部

世界卓球女王・劉詩雯の男子選手に打ち負けない安定感もさることながら、ダブルスでは許昕の強烈な回転と独特の弾道のフォアドライブが目を引く。

伊藤は許昕のボールについて「1回目(の対戦)はほんとにやばかった。森薗(政崇)選手とカタールで組んだ試合で、1,2本くらいしか返せなかった。ほんとに(アルファベットの)“J”くらい曲がるので、なにこれみたいな感じだった(笑)」とその唯一無二の打球を表現した。

ただ、今回の試合は許昕のボールをしっかりとブロックし、ラリーでも互角に渡り合った伊藤。「許昕選手のボールを打てる人は許昕選手しかいないので、やって慣れるしかない。今回の試合は1番とれたし、慣れてきたなと。さらにそこからコースをつけたり、強く打てるようになったり、すごくやりがいがあった」と充実した表情を見せた。

水谷・伊藤「練習していけばよくなる」

写真:世界王者ペアをあと1歩まで追い詰めた水谷・伊藤ペア/撮影:ラリーズ編集部

東京五輪から採用される新種目混合ダブルス。日本の代表ペアは、団体戦に選ばれた代表候補男女各3名の中から、相性を考慮し強化本部が決定すると日本卓球協会は発表している。そのため、今大会準優勝の水谷/伊藤ペアが選出されるとは限らない。

ただ、水谷は「もっともっと練習していけばよくなる。ミックスしか自分にないと思っている」と伊藤とのペアリングを高め、混合ダブルスに勝負をかける旨を語っている。

伊藤も「(水谷の腰の不調もあり)こんなに練習してないのってくらい練習していない。自分たちでもびっくりする(笑)。(もっと練習を)やれば強くなる」と水谷同様、前向きに今後の意気込みを語った。

東京五輪卓球競技開幕まで約7か月、混合ダブルスでは中国の牙城を崩すことができるのか。そして、どのペアが五輪初の混合ダブルス王者に輝くのか。注目が集まる。

文:ラリーズ編集部

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