元寇遺物に構想膨らませ 今村翔吾さん 鷹島を取材

元船の碇石を見学し、構想を膨らませる今村さん=松浦市、市埋蔵文化財センター

 作家の今村翔吾さん(35)が12、13両日、元寇(げんこう)をテーマにした小説の取材のため、長崎県松浦市鷹島町を訪れた。町内の元寇遺跡や遺物、伝承などを精力的に取材した。
 今村さんは京都府出身。ダンスインストラクターや作曲家、埋蔵文化財調査員を経て作家としてデビューした。「童の神」は第160回直木賞(2018年度下半期)の候補作になった。
 今村さんは今回、小説や漫画に県内の名所などを描いてもらい、読者の誘客を図る「描いてみんね!長崎」事業で県から招待された。
 12日は市埋蔵文化財センターで鷹島沖の海底から引き揚げられた元船の碇(いかり)石などを見学。「遺物から当時の景色やにおいが感じられた。元寇は今の時代にも考えさせられるテーマだと思う」と話した。
 小説は別冊文芸春秋(隔月刊)3月号から6回ほど連載される予定。元軍が再度襲来した弘安の役(1281年)で活躍した伊予(現在の愛媛県)の豪族・河野通有(こうのみちあり)と、河野一族出身で時宗の開祖である一遍上人を軸に、人と人とのつながりの視点から元寇を描くという。

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