県内初、津波警戒区域に 小田原など3市町沿岸部

避難指示が発令された海岸付近を警戒する消防署員=2015年9月18日午前6時20分ごろ、湯河原町吉浜

 小田原市と真鶴、湯河原両町の沿岸部が今月下旬、県内初の「津波災害警戒区域」に指定されることが分かった。学校や福祉施設などによる避難確保計画の策定が義務化され、津波発生時の人的被害抑止に向けた対策が強化される。

 東日本大震災を教訓に制度化された警戒区域を巡り、県は今年3月、指定方針を公表。小田原など3市町をモデル地域と位置付け、住民説明会や地元との調整を続けてきた。今月までに3首長から指定への同意を得たという。

 県などによると、警戒区域の具体的なエリアは、県が2015年に設定した浸水想定範囲とほぼ同じになる予定。相模トラフの巨大地震による最大級の津波がベースになるもようだ。3市町とも大半が海岸線沿いに限られるが、小田原市の酒匂川沿岸や小田原漁港周辺、真鶴町の岩大橋付近、湯河原町の国道135号沿いなどは内陸側まで浸水が見込まれている。

 また、3市町とも最悪の場合、10メートルを超える最大波が地震の数分後に押し寄せる想定のため、早期の避難行動とともに、危険性の低い避難場所や移動経路をあらかじめ確保しておくことが被害軽減の鍵を握る。

 警戒区域の指定により、避難場所に必要な高さを判断できる基準水位が細かく示されるため、建物の何階へ逃げれば安全かなどを見極められるようになるという。こうしたデータを基に市町がハザードマップを作製するほか、学校や医療機関、福祉施設などが避難確保計画を定めることになる。

 津波災害警戒区域は、11年12月制定の津波防災地域づくり法に盛り込まれた仕組み。国土交通省によると、これまでに徳島や静岡、京都、沖縄など14道府県の計218市町村で指定されたが、首都圏では例がない。

 神奈川県内は東京湾、相模湾沿岸の計15市町で津波による浸水被害の恐れがあるため、県は今回の3市町以外でも警戒区域の指定を進める方針だ。

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