標高差1550メートル一気 丹沢〝快速登山〟の魅力発信

急な登山道を走るように登る「サミット・チャレンジto塔ノ岳」の参加者=大倉尾根の花立山荘下部

 急峻(きゅうしゅん)な山を駆け登るスピードを競う「スカイランニング」。“快速登山”とも評される山岳スポーツを普及するため、愛好家グループが11月30日、小田急線渋沢駅(秦野市)から丹沢・塔ノ岳(標高1491メートル)の山頂までを往復するイベントを開いた。主催する日本スカイランニング協会(本部・長野県)の協会員らが参加。通常は7、8時間はかかるコースを、最速3時間弱で駆け抜けた。

 イベント「サミット・チャレンジto塔ノ岳」は、協会と協会傘下のクラブ「SC丹沢秦野」が主催。今回は普及を目的に、協会員とクラブ会員に参加を限定した。

 クラブによると、駅から山頂までは11キロほどで、累積の標高差は1550メートル。登山客は駅から登山口の大倉地区までバスで移動するのが通例だ。

 14人は午前9時、駅をジョギングでスタート。山道の緩い上りでは小走りに、急傾斜では速いペースで歩くなど、走法を変えながら山頂を目指した。

 1時間を過ぎた頃には、先頭が山頂近くの花立(はなたて)山荘付近の急な階段に差し掛かった。参加者は息を荒らげながらも足は止めず、午後2時ごろまでには全員、駅に戻った。

 クラブの竹原直矢部長は、同じく山道を走る競技「トレイルランニング(トレラン)」との違いについて「もっと山頂へ一気に、スピーディーに走り登っていく点」と説明。参加者は「短時間で山頂に登る達成感が魅力」などと話した。

 ただ登山道には、ゆっくりと景色を楽しみながら山歩きを楽しむ登山客らもいる。そこで、クラブは「狭い場所で無理に抜かない」「追い越しや擦れ違いの際は、歩くか立ち止まるかしてスピードをコントロールする」など、参加者にマナー順守を呼び掛けている。

 協会は今回をプレイベントと位置付け、来年からは体験イベントとして、全国の山岳地で「サミット・チャレンジ」を開催する考えだ。

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