「早く上位集団に戻りたいと思うようになった」リカルド、F1オーストリアGPでの低迷が刺激に

 ルノーのダニエル・リカルドは、第9戦オーストリアGPでのパフォーマンスが惨憺たるものだったことが、“先頭集団へ戻る”ためのモチベーションに火をつけるターニングポイントになったと考えている。

 リカルドはオーストリアGPの予選で振るわず、それ以前のレースにおけるトップ10フィニッシュもたった3回のみ。オーストリアGPの決勝レースでもほとんどの時間でポイント圏外を走行しており、運を好転させる希望もほぼない状況だった。パフォーマンスは低調で、最終的にチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグのひとつ上の12位でフィニッシュした。

 しかしその日の中団グループにおける絶望的な苦戦のなかで、リカルドには有益なひらめきが浮かび上がった。

 リカルドは、ポッドキャスト『Beyond the Grid』でトム・クラークソンと話すなかで「オーストリアは僕たちにとって今年最悪の週末のひとつだ」と振り返った。

「レースが終わりに近づくなかで、僕はポイント圏外だったし、セーフティカーが導入されても僕たちにとってレースにはあまり変化がなかった。だから僕はヘルメットのなかで少し考える時間を持った。そういうこともできるんだよ!」

「僕は走行しながら実際にこう言っていた。『これは面白くない。このレースは今の僕にとって楽しくない』とね」

「でも、『楽しくないからレースをやめて帰りたい。このレースは最低だからだ』と思う代わりに、『僕はこの順位にふさわしくないし、14番手辺りを走っていたくない。先頭集団に戻りたいし僕にはそれができるはずだ。それに僕たちはもっと速くなれるはずだ』と考えたよ」

 このリカルドの考えは、彼の決意を固めるのに必要なひらめきだった。

「そう考えたことで、僕のモチベーションに火がついた」

「僕は苛立ち、腹を立てていたけれど、それによって大きく前向きに刺激されたんだ」

「早く先頭集団に戻りたいと思うようになったから、そのレース中、ハングリーさがかつてないほどに湧いてきた。良いことだったよ」

■「確信を持って2020年に向かっていける」

 2019年後半のリカルドはより鋭敏に見えたが、ルノーのマシン『R.S.19』は彼を前進させるには戦力が限られていた。それでもリカルドはさらにポイントを獲得し、第14戦イタリアGPでの4位入賞は彼のシーズンのハイライトとなった。

 ルノーは今シーズン学んだ教訓を携えており、またエンストンの技術部門が強化されたことから、リカルドはチームが2020年に大きな進歩を遂げることができると確信している。

「たくさんのことを話したいけれど、僕はたとえそうはならないと思っても『僕たちは来年はより強力になるよ』」と話すタイプじゃない」とリカルドは語った。

「僕は彼らの肩をマッサージして、彼らが聞きたいことだけを話すつもりはない。僕はより良くなると分かっている。不確定要素について僕が知っていることは、それが良い方へ変化していこうとしていることだ。それだけでも、僕は確信を持って2020年に向かっていける」

「空力の担当者たちと話をすると、今年の、特にマシンのフロント部分の設計方針については、最善な方法ではなかったと確信しているそうだ」

「他の一部のチームに目を向けると、マシンを開発するには変更を加え、時間が経つにつれてより多くのことを引き出している」

「アップデートでは、僕たちはあまり得るものがなかったから、やるべきことがあるね。僕たちにはそうするためのリソースと予算が間違いなくあるんだ。だから僕は楽観的だよ」

ダニエル・リカルド(ルノー)

© 株式会社三栄