キャッシュレス還元で増えたカードやQR決済の見直し、どう判断すればよい?

クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QR決済(スマホ決済)。キャシュレス還元ですっかり身近になったキャッシュレス決済、すでに活用している人も多いと思います。

しかし、中には「カードやアプリが多すぎて、どれを使っていいかわからなくなった……」という人もいるのではないでしょうか。キャッシュレス決済は確かに便利ですし、ポイント還元などもあってお得ではありますが、うまく使わないと、意外とお金がたまらないものなのです。

そこで提案したいのが、キャッシュレス還元で増えたカードやQR決済アプリの見直しです。どう見直せばいいのか、具体的に紹介します。


カードやアプリが増えすぎるとよくないこれだけの理由

店先などでポイントが2倍もらえるクレジットカードの勧誘を受けると、断れずについつい作ってしまう、あるいはQR決済アプリの大幅還元のキャンペーンを追いかけた結果、スマホにちょっとずつ使ったアプリがたくさん入っているという人はいませんか?

家計に厳しい時代、できるだけ得をしたいと思う気持ちはわかりますが、やみくもにカードやアプリを増やすのはNG。その理由は5つあります。

1.家計管理が難しくなる
どのカードでいくら使ったか、どのアプリにいくらチャージしたかがわからなくなりがち。毎月の支出や残額の合計がいくらかを集計するのも難しくなる可能性があります。

2.お金を使いすぎてしまう
もし、毎月の支出や残額が把握できていれば、「まだ使っても平気」「使いすぎだからセーブしよう」などと、自分で調整することができます。しかし、家計管理ができていないと、そうした調整もできないため、お金を使いすぎてしまう危険があります。

3.ポイントがうまくたまらない
キャッシュレス決済のポイントは、決済のときに利用したカードやアプリに対して還元されます。ですから、あまり複数のカードやアプリを使ってしまうと、その分ポイントも分散してしまうことになります。

4.IDやパスワードの管理が大変
各カード・アプリには、それぞれIDやパスワードがあります。IDやパスワードを面倒だからとすべて同じにすると、万が一第三者に知られてしまったときにとても危険です。だからといって、すべて別々にして管理をするのは大変でしょう。

5.年会費がもったいない
年会費無料のカードも多くありますが、中には「初年度年会費無料」としているカードも。こうしたカードを持ったままにしていると、2年目からは気づかないうちに年会費を支払うことになる可能性もあります。

カードやアプリは使うものを選んで、それだけを使うようにするのがおすすめです。すでにたくさん持っているという人も、その中から使うものを絞り込んで、残りは解約するようにするといいでしょう。

では、具体的にはどのように選べばいいのでしょうか。クレジットカード・電子マネー・QR決済アプリの3つに分けて考えてみましょう。

【鉄則1】クレジットカードは2枚に絞れ! VISAともう1ブランド

クレジットカード、10枚以上持っているなどという人もときおり見かけますが、2枚あれば十分かと思います。

クレジットカードを選ぶときのポイントは、まず自分の行動パターンを考えること。買い物で使うことが多ければ流通系、鉄道や飛行機で使うことが多ければ交通系、電話やネット関連で使うことが多ければ通信系…という具合に、クレジットカードをよく使うシーンを想定して、そのシーンで使えるクレジットカードを選びましょう。

それから還元率をチェック。クレジットカードの還元率はおおよそ0.5%~2%程度です。年会費が無料ならば、還元率が高い方がもちろん有利です。
高い還元率のカードは、年会費がかかることがありますが、年会費を払っても得ならばぜひ検討すべきでしょう。たとえば、年会費が1500円、還元率が1.5%ならば、1500÷1.5%=10万円。つまり、1年間で10万円以上使うならばお得になることになります。

そして付帯サービス。クレジットカードのなかには、カード保有者限定のセールに参加できたり、ラウンジなどの施設を利用できたり、旅行保険がついたりするものがあります。還元率で差がつかずに悩んだら、付帯サービスで選ぶのも一つの手でしょう。

これらを踏まえて、クレジットカードは2枚に絞りましょう。ブランドはVISAとMaster(あるいはJCB)という具合に分けておけば、どちらかしか使えないというお店でも困ることは少ないでしょう。

【鉄則2】電子マネーは1つに絞れ!モバイルSuicaが最強

電子マネーは1つでいいでしょう。あまりいろいろなところにチャージすると、お金の管理がしにくくなってしまうからです。

一番簡単なのは、お住いの地域の交通系電子マネー。関東ならばSuicaやPASMO、関西ならばICOCAやPiTaPaといった具合です。利用できる店舗が多く、電車に乗るのも簡単。決済もとても早く完了します。Suicaを使うなら、スマホで使えるモバイルSuicaが鉄則。

カード式Suicaだと買い物や鉄道を利用200円ごとに1ポイント(還元率0.5%)ですが、モバイルSuicaは50円ごとに1ポイント(還元率2%)です。定期券をモバイルSuicaで買った場合も、同じ還元率でポイントが貯まります。現在、電子マネーの中ではモバイルSuicaが最強だと思われます。

10月から始まっている、国のキャッシュレス還元による5%・2%のポイントを受け取るために、各社のウェブサイトで事前登録が必要になるものもあるので要注意。忘れずに登録しましょう。

【鉄則3】QR決済アプリは2つに絞れ! PayPayは必須

近年、派手なキャンペーン合戦を繰り広げていたこともあり、つい還元率に目が行きがちなQR決済アプリですが、こちらもクレジットカードと同様、自分の行動を考えて選ぶことが大切。普段活動しているエリアで利用できるか、利用できるお店の数が多いかをチェックしましょう。

せっかくチャージしても、利用できる店舗が少なければお金を使いきれなくなる可能性もあります。その点、PayPayやLINE Payは、利用可能な店舗も多いため、残高を使いきれなくなる心配は少ないでしょう。

また、ドコモユーザーならd払い、楽天会員なら楽天Payという具合に、普段利用しているサービスとの相性がいいサービスもあります。逆に、ポイントを貯めるのは面倒、という人はORIGAMI Payを使ってその場で割引、というのもいいですね。

PayPayは基本還元率が1.5%と高く、キャンペーンも強いため、入れておくべきQR決済と思います。二つ目のQR決済として、LINE Pay、d払い、楽天ペイ、ORIGAMI Payを追加する、という具合に絞れるのではないでしょうか。

【まとめ】お金の置き場所を考えよう

以上のようにキャッシュレス決済のカードやアプリを整理すると、手元には最大で5つのカード・アプリが残ることになります。自分のお金の置き場所を5つの手段に絞ることで、お金の流れがわかりやすく、ポイントが貯めやすくなり、余計な年会費を支払わずに済むようになるでしょう。

その結果、どのくらいの差が生まれるかは、人によって違います。ただ、わずか数百円の差であっても、数十年と積み重ねれば大きな差になります。キャッシュレス決済という新しい習慣をお得に楽しむために、今のうちから正しいお金の置き場所を用意していきましょう。

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