楽天が買収、ムネリン入団、過去にはメジャー大物も… 30年目を迎えた台湾プロ野球

味全ドラゴンズにコーチ兼任選手として入団した元ソフトバンク・川崎宗則【写真:Getty Images】

一時は野球賭博で人気低迷も…

 台湾プロ野球(CPBL 中華職業棒球大聯盟)は、日本のNPB、韓国のKBOについで東アジアでは3番目にできたプロ野球リーグだ。1989年に中華職業棒球聯盟として発足。1990年から4球団でペナントレースをスタートさせた。

 次第に人気が高まっていったが、1996年シーズン中に野球賭博事件が発覚。翌1997年シーズン前には、第2のプロリーグである台湾職業棒球大聯盟が発足。選手の引き抜きなども発生した。両リーグは一切交流をしなかったこともあってともに観客動員が低迷した。

 2003年、中華職業棒球聯盟と台湾職業棒球大聯盟は合併してCPBL(中華職業棒球大聯盟)が誕生。しかし2008年、2009年と立て続けに野球賭博事件が起こり、CPBLの信用は地に落ち、観客数は激減した。台湾の有望なアマチュア選手はCPBLには進まず、NPBやMLBを目指すようになった。

 CPBLの選手がたびたび野球賭博に手を出した背景には、安すぎる選手年俸があった。そこで2010年には台湾政府が資金を拠出し、選手の待遇を向上させた。台湾政府はプロ野球を国民的スポーツにしようと考えたのだ。

 2013年のWBC予選ではCPBL選手を中心とした台湾代表は、予選ラウンドを勝ち抜き、台中でのグループBに進出。最終の韓国戦には、台中洲際棒球場に台湾野球史上最多の2万3431人が詰めかけた。この試合は負けたもの2勝1敗でこのラウンドを勝ち抜き、東京ラウンドでも侍ジャパンを苦しめベスト8になった。

味全ドラゴンズが再加盟、元ソフトバンクの川崎宗則がコーチ兼任選手として入団

 この奮闘によってCPBL人気は復活。このシーズンにMLBの大選手、マニー・ラミレスが義大ライノズ(現富邦ガーディアンズ)でプレーしたこともあり、観客動員は一気に回復した。

 徐々に台湾国内の有望選手もCPBLに進むようになり、2015年ドラフト1巡目でLamigoモンキーズに入団した王柏融(現日本ハム)が、2016年に打率4割、2017年には三冠王を記録。「王大王(ワンターワン)」と呼ばれ、国民的なスターとなった。

 2019年のCPBLは、Lamigoモンキーズ、富邦ガーディアンズ、中信ブラザーズ、統一ライオンズの4球団が、前後期2シーズン制で、各期20回総当たり、年間120試合でペナントレースをおこなった。今年6月には、かつてCPBLに加盟していた味全ドラゴンズが再加盟を申請、元ソフトバンクの川崎宗則がコーチ兼任選手として入団して話題となった。2021年のリーグ戦加入を目指している。また今オフにはLamigoモンキーズを、日本の楽天が買収した。

 CPBLの観客動員は240試合で130万人前後。1試合平均で5500人弱。2500万人以上を集めるNPBや700万人以上のKBOに比べれば見劣りするが、観客数は増加傾向にある。CPBLではKBOと同様、球団が雇用するチアリーダーやチアガールが派手な応援合戦をして観客を呼び込んでいる。

 かつては中小企業が少ない資本で運営することが多かったCPBLだが、最近は大企業が運営にかかわるようになっている。日本に対する好感度が極めて高い台湾では、楽天の参入も期待感をもって受け止められている。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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