『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』 見たこともない映像に息をのむ。お正月にぴったり

(C) 2019 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

 『シュレック』『ボス・ベイビー』のドリームワークス・アニメが、イギリスの児童文学シリーズを映画化した3部作の完結編だ。実は第2作は日本未公開なのだが、冒頭に1作目と2作目のダイジェストが入るので問題ない。舞台は、人間とドラゴンが共存する世界。バイキングの若きリーダーへと成長したヒックと伝説のドラゴン・トゥースの友情は、トゥースに恋の相手が現れたことで大きな局面を迎える。人間に限らず、友情と恋愛は相容れないものなのかもしれない。

 今回の物語を要約すると、まるで夜逃げのような大所帯による引っ越し大作戦。ドラゴンが増えすぎて島が定員オーバーとなり、ドラゴン・ハンターの目をかいくぐって“幻の聖地”を目指すというもの。そんな追いつ追われつの攻防は、ある意味単調なのだが、それを上回るスケール感(第1作の比ではない!)と、映像の魅力に満ちている。

 例えば、1作目では1カットに最大で8匹までしかドラゴンが映っていなかったが、今回は何と65000匹以上。ドリームワークスが開発した新しいライティング技術がそれを可能にしたそうで、夕陽を浴びた無数のドラゴンたちの群舞や、煌々と輝く“幻の聖地”の映像は、まさに圧巻! 子供たちは冒険を通じた王道の成長物語に自らを重ね、大人は最先端技術が生み出す見たこともない映像に息をのむ。まさに親子で楽しめる、お正月にぴったりのファミリームービーだ。★★★★☆(外山真也)

監督・脚本:ディーン・デュボア

原作:クレシッダ・コーウェル

声の出演:ジェイ・バルチェル、アメリカ・フェレーラ

12月20日(金)から全国公開

© 一般社団法人共同通信社