【おんなの目】 一人回転寿司

 あまりにも空が青く晴れ渡っていたので、とても幸福で見とれていました。そこに薄く白い雲が棚引いてきて、白と青の美しいコントラストを見せたのです。しばらく息を止めて見ていたら、お腹が空いてきました。下腹にも力を入れていたのでしょう。

 お寿司が食べたくなりました。近頃回転寿司にご無沙汰なので行ってみようと思いました。雲が流れる様子が回転する寿司を思い出させたのです。斬新な想像力の持ち主なんです、友達を誘おうかな、とも考えましたが、なにせ皆さんこの師走、なんやかんやと忙しい。誘えない。

 自転車でA回転寿司店に。番号札を取ろうとしたら、同年輩の細身の女性が近寄ってきてこう言われたのです。「私も一人です。初めてなのでわからないの。ご一緒させて」。仄かに石鹸の匂いがしました。

 二人で並んでカウンター席に座って、回ってくるお寿司を次々と、取っては食べ取っては食べ。吸い物や好みの寿司を注文するパネル操作もなんなくこなし、お皿が高く積み上げられました。小皺とシミのばら撒かれた顔を見合わせてニッコリ。「お一人様回転寿司ランチの方とお会いできてよかったわ。秋刀魚のお寿司大好き」「こちらこそ、お連れが出来て楽しかったわ。私はホタテが好き」。お二人様回転寿司でした。

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