「日本再建、誰かがやらねば」

中村喜四郎衆院議員インタビュー(中)

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西野 秀

共同通信社編集局デジタル編成部編集委員

西野 秀

共同通信社編集局デジタル編成部編集委員

47newsに、プレミアムインタビュー(仮称)を掲載する予定です。ストーリーズPLUSもやっています

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野党共闘の在り方について語る中村氏

 立ち向かう姿を有権者に見せることが、野党の成長につながると確信する中村喜四郎氏。与野党伯仲の緊張関係を作り出すことで、政治の劣化を止める「日本再建」の志を聞きました。

 ―東京都知事選は大勝負になりますか。

 「2020年の東京都知事選、戦おうということになったときに考えてみれば、小池百合子東京都知事は2017年10月、民進党を立憲民主党と、国民民主党に分断させた当事者ですよ。そして、今、自民党の二階俊博幹事長と近い」

小池百合子都知事

 「『野党として黙っていていいのか』と、私は言っているんですよ。分断させられた、元仲間同士、立憲と国民がけんかしているよりは、当時の指導者が東京都知事になっているんだから、野党として立ち向かっていくべきだと。それが二階氏とくっついてどうたらこうたらなんてとんでもないと。政治家として、そこは立ち向かっていかなくちゃいけない」

  「ましてや、東京オリンピックに絡んで大きな問題が生じた。マラソンの実施場所が札幌になった。アスリートファーストだからとかいうが、本当かなと。日本の組織委員会がそう考えたのではなくて、IOC(国際オリンピック委員会)が言い出した。『そんなことができるかな』と考えると、これは実は『小池外し』で行われたんじゃないか。そういう疑問を野党は持つべきだ」

 「そのことを、選挙戦で小池さんに、ぶつけていくべきだ。与党は、絶対に口が裂けたって言えない。だから野党が言うべきだ。平和の祭典、スポーツの祭典にもし、『小池外し』という政治的な背景があるとするならば、言語道断だ。そう言って、立ち向かっていけばいい」

■次期衆院選までに態勢構築

 ―とはいえ、小池知事は選挙に強いですよ。

 「勝ち負けじゃないんですよ。オール野党で、正論を言って向かっていく。『ああ、野党は本気になってきたな』と有権者に映る。そこに共産党もいると、『おお、共産党も一緒か。変わったもんだな』となる。こういうところを見せていくことが大事だ」

 「やっぱり、戦う野党を見せていく。錦の御旗を立てて、堂々と戦うと。そういう野党になっていかなくちゃいけない。私は高知の県知事選挙が終わったら、今度は東京都知事選だと。都知事選、みんなで頑張ろうと今、野党の代表者に言っていますよ」

高知県知事選の応援で同席した枝野、志井両党首

 「代表者間の手探りが続いています。この間、みんなで、共有してきたじゃないですか。志位和夫共産党委員長も、共産党も一緒になってやりますと、こういうことを言っていますし、そうなれば、この間、枝野幸男さんが志位さんと一緒に高知に入ったことも、かつて共産党と距離があった枝野さんがそこのところは変わってきた」

  「2019年11月の高知県知事選は、必ずしも連合の協力はもらえませんでした。さらに、候補者は無所属で戦いましたが、共産党の党籍を持った人でした。知事選と同時に、共産党が独自候補を立てて戦った高知市長選があり、ねじれているという中という、最悪の状況でも戦えた。野党の主要政党、みんなで戦った。一つ、次の総選挙への布石は打たれたと思います」

 ―いまなお、連合は、共産党との共闘に消極的です。労働運動の現場での対立が根深い。

  「こういうことになると、連合はどうなるか分かりません。ただ、労働組合である連合の動きと、政治の動きが全て一緒じゃなくちゃダメだということはないと思いますよ。連合は連合の、組合としての組織の存亡を懸けた動きです。政党としての動きは、国民のために動いているわけですから、そこはやっぱり隔たりがあって当然。それがはっきりすれば初めて、正常な政治が動いていると、有権者に思われます」

 ―次の衆院解散の時期をどう予測していますか。

インタビューに答える中村氏

 「それは首相の専権事項ですから。いつあるか分かりませんが。野党はそういうことよりも、『オール野党』を、次の衆院選までの早いうちに形を作れるかが大事だ」

  「1回目は埼玉知事選が終わった後、共産党の志位委員長は入りませんでしたが、野党の代表者を集めて会合をやりました。その後、高知の知事選前にオール野党の代表者、集まってもらいました。オール野党の代表者が集まれるようになってきた」 

 ―野党共闘を進める方が優先事項だということですね。

 「1カ月のうちに2回ぐらいオール野党の代表者が、政策の話じゃなくて、飯でも食って酒でも飲んで、ばか話をできるかどうか。それをできるようにしておくと、いつでも『オール野党』という枠組みを発動することはできるんじゃないですか。その後、幹事長、書記長なんかにも同じようなことができれば、なおさら良いと」

  ―小選挙区でガチンコ対決をつくっていくのですね。

  「そうです。だけど、しびれる結果が出なくたっていいんですよ。『しびれる結果が出たらいいね』じゃなくて、オール野党で戦う。そして、そこで何がいけなかったのかということを反省する」

  「今回の高知県知事選のことなんかすぐ分かっているわけですよ。『無所属、オール野党で戦ったんだけど、やっぱり共産党籍はきつかったよね』『共産党が独自候補を出した高知市長選とのねじれもきつかった』『連合との協力もだからうまくいかなかった』『衆院高知2区で自民党を破った広田一君だったらどうだったろうか』などなど、考えれば、どんどん次のことに対して反省するものが出てくるから、直していける」

■選挙に出しゃばる  

 ―高知の選挙事情にも精通していますね。 

自民党幹事長時代の小沢一郎氏。1991年ごろ

 「選挙のことって、実は誰も考えていないんですよ。考えているように見えて、誰も人任せなんですよ。だから誰か1人が考えればいいんですよ」

 「昔ね、自民党にいたときに、小沢一郎さんが最初の幹事長だった1989年、私は総務局長をやってたんですよ。まあ、小沢さんが指揮を表で執っていたんですけど、裏では、私が選挙の実務的なことをやった。そのときに思ったのは、これ、誰もやんないんだなと。自分でやらないと何も動かないなと知った」

 「ということは選挙というのは頼まれてやるんじゃダメだ。出しゃばってやることだな、と。ひたすら出しゃばってやる。だからもう、新潟県知事選も埼玉県知事選も、頼まれてないですよ。『行かしてくれ』『手伝わせてくれ』と。高知も『行かせてくれ』と自分から押しかけていく。そういう人が1人いると、何となく雰囲気ができ上がってくるんですよ。そういう役割を担いたい。今の野党では、担っていかなくちゃいけないと思ってます。皆さん結果ばかりにこだわっているから」

  ―きちんとした総括ができていますか。

 「どうでしょうか。今度、野党の人が、高知の知事選を踏まえてどう総括できるかによっては、国民から『野党が変わった』と思われたら、これは大きな成果を得たということになると思います。そういうことを自民党は嫌がっています。私は自民党にいたから、何となく分かる」

  「与党と野党が、お互いに切磋琢磨して、良い緊張感を取り戻していく。それが日本の民主主義をもう1回、再生させていくためには必要なことだと。まあ、日本再建ですね。日本再建というのはやっぱり、誰かがやるんじゃなくて、自分で志を持ってやるしかないと、こう思っています」

■共産党としっかり連携

 ―気の早い話だが、政権交代が実現したとき、共産党は閣内に入ってもらうのかいいか、閣外協力にとどめてもらうのがいいか。どうお考えですか。

 「まずは、保革伯仲まで持って行かなくちゃならない。政権を取るということは2段階目ですよ。最低でも2段階に分けなきゃしゃあないですよ。まずは、保革伯仲が政治目標です。それができて、次の目標が政権交代だから。だから保革伯仲のところまでは、共産党としっかり連携を組んでいくことは当然です」 

中国の習近平国家主席

 「昔の共産党のことは知りません、私は。でも今の共産党は変わってきていると思います。自民党には『共産党と組んではおかしい』と言っている人がいる。じゃあ、中国共産党の習近平国家主席のこと、安倍さんはどうやって迎え入れるのか。国賓で迎え入れるんじゃないですか。中国共産党と仲良くしますって、日本の共産党は駄目なんだって、これもむちゃくちゃな話で、そういうことが権威主義だと思うんですよ」

  -共産党の機関誌「しんぶん赤旗」は今年、100万部を切り、国政選挙の比例票も減少しています。

 「この間、茨城県議選の時に地元を歩いたら、私の支持者も高齢化していますけれど、共産党の支持者はもっと高齢化しています。だから共産党だって生き残りを懸けていくためには、従来の独自路線だけじゃあ生き残れないという状況に来ている」

 「そのことが今回、野党と足並みをそろえると言っている理由だと思います。共産党がむちゃくちゃなこと言ったら、縁を切ればいいだけですよ。だけどそれは共産党にとっても困るでしょ。野党共闘にかじを切ったなら、とことん一緒にやらないといけない」

  「そこからはじき出された共産党なんてのは、今までの共産党とは全く違った立場になりますよ。そこは彼らも分かっている。そんなむちゃくちゃなことは言わないように、対応することが大切なんじゃないですか」

■小沢一郎氏とも共闘

  ―野党連携に向け、小沢一郎氏もだいぶ動いています。いわゆる“小沢アレルギー”ということも、野党の共闘を考える時に、よく語られますが、小沢氏の今日的な役割をどう見ていますか。

国民民主党入りした際の小沢一郎氏

 「個人的な感想は少し控えたいと思います。だけど、小沢さんと私は昔から政治手法が違います。小沢さんはドラスチックに政治の局面を変えていくのが得意ですけど、私は全員野球。とにかく下からみんなの気持ちを大切にして、そして『汗はかいて手柄は人に』というのが、私が教えを受けた田中角栄さんや竹下登さんの政治手法なので」

 「だから『改革派』だとかいう言葉で昔、衆院への小選挙区比例代表並立制を導入する『政治改革』をやられたときには、大変なことになると考えた。『日本がひっくり返っちゃう。こんな選挙制度をやったらとんでもないことになる』と言って」

加藤紘一、山崎拓、小泉純一郎の3人は「YKK」と呼ばれた。2000年12月

 「当時は小泉純一郎さんや加藤紘さん一や山崎拓さんといった、反田中、反竹下の動きをしてきた人たちと一緒になって、反対運動をしました。それに対して竹下も金丸も別に止めなかった。だから私は不思議なことに、何とかして選挙制度改革は止めなくちゃならないと、小泉、山崎、加藤の3氏と一緒になって行動した」

   -小選挙区が、日本の民主主義を変えたという認識ですか。

  「本当にそうなっちゃった。まさしく日本のこの権威主義を生んだ最大の理由は、選挙制度を変えたこと。結局、民主主義を衰退させちゃった。米国は、人種差別問題とか、移民問題とか、そういった問題をきっかけに、トランプ大統領の権威主義がどんどんどんどん、強くなってきている。日本は選挙制度を変えたことによって、政治に活力が本当になくなってしまった」

  「だけど、それをいくら嘆いたってしょうがない。これを踏まえた上でどうするかということを考えていかなきゃ仕方ない。誰かが批判を恐れずにやるしかないと。そういう役割を、私がやれるものならやっていきたい」

  ―小沢さんと共闘できますか。

  「小沢さんとは、最初からスタートが違うし目指していることも違う。だけどまあ、小沢さんが汗をかいて、結果的にそれが野党結集になっていくなら、拒むものじゃありません」(続く)

(上)はこちら

「野党共闘で保革伯仲を」  中村喜四郎衆院議員インタビュー(上)

https://www.47news.jp/47reporters/4351760.html

「選挙は人生そのもの」 中村喜四郎衆院議員インタビュー(下)

https://www.47news.jp/47reporters/4359076.html