最下位ヤクルトの戦力整理…バレンティンが鷹移籍、館山や畠山が現役退く

ソフトバンク入団が決まったウラディミール・バレンティン【写真:荒川祐史】

大物助っ人エスコバー、前楽天の嶋を獲得、ドラフトでは奥川を引き当てる

 2年連続のCS進出を狙ったが、最下位に沈んだヤクルト。第2次小川政権2年目となった今季は59勝82敗2分の借金23、5位の中日に9ゲーム差をつけられる屈辱的なシーズンとなった。小川監督は監督を退任しGMに就任し、2軍監督を務めていた高津臣吾氏が新監督に就任する。

 来季に向けた補強の目玉として、2015年にロイヤルズでア・リーグ優勝決定シリーズMVPにも輝いて世界一に貢献し、今季はホワイトソックス傘下でプレーしたアルシデス・エスコバー内野手を獲得。今季メジャー36試合に登板したガブリエル・イノーア投手、楽天を退団していた嶋基宏捕手もチームに加えた。ドラフトでは3球団競合となった星稜・奥川恭伸投手の1位指名に成功した。

 一方で、多くの功労者が退団した。館山昌平投手、寺原隼人投手、畠山和洋内野手、三輪正義内野手が現役引退。ウラディミール・バレンティン外野手はソフトバンクへの移籍が決まり、デービッド・ブキャナン投手、デーブ・ハフ投手は保留者名簿から外れて自由契約となった。また、村中恭兵投手、大引啓次内野手ら6選手が戦力外になった。

 ここでは今季で引退、戦力外となった選手の実績などを振り返ってみよう。

○館山昌平投手(現役引退→楽天2軍投手コーチ)
 日本大から2002年のドラフト3位で入団。2年目の2004年キャンプ中に右肘の靭帯を断裂してトミー・ジョン手術を受けると、10勝をマークした2005年オフには再手術した。2008年に12勝3敗、防御率2.99の成績で最高勝率、2009年には16勝6敗、防御率3.39で最多勝のタイトルを獲得した。2012年まで5年連続2桁勝利。その後は2013、14年にもトミー・ジョン手術を受けながらも、2015年には6勝3敗、防御率2.89とリーグ優勝に貢献した。現役時代に3度のトミー・ジョン手術を含め、計9度の手術を受けた。通算279試合85勝68敗10セーブ24ホールド、防御率3.32。

○寺原隼人投手(現役引退→琉球コーチ)
 日南学園から2001年のドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)に入団。当時の高校生最速となる155キロを記録するなど注目を集め、1年目の2002年から14試合に登板し6勝2敗、防御率3.59の成績を残した。2006年に多村仁外野手とのトレードで横浜に移籍し、初の2桁勝利となる12勝をマーク。2011年にはオリックスにトレード移籍して2度目の2桁勝利。2013年にFAでソフトバンクに復帰、2019年には戦力外となりヤクルトに加入した。通算303試合73勝81敗23セーブ12ホールド、防御率3.88。来季からは沖縄初のプロ野球チーム「琉球ブルーオーシャンズ」のコーチに就任する。

2015年のセ・リーグ制覇に貢献した選手らもチームを離れる

 16日には、2011年より主軸として活躍したウラディミール・バレンティンのソフトバンク入団が発表。2015年のセ・リーグ制覇に貢献し、同年打点王に輝いた畠山和洋もユニホームを脱ぐこととなった。

○畠山和洋内野手(現役引退)
 専大北上高から2000年のドラフト5位で入団。4年目の2004年に1軍デビューすると、2008年に121試合に出場。2011年には142試合で23本塁打を放ち、2015年は打率.268、26本塁打105打点で打点王に輝いてリーグ優勝に貢献した。今季は引退試合の1打席のみの出場だったが、ポテンヒットを放って有終の美を飾った。通算1106試合3529打数937安打128本塁打567打点、打率.266。

○三輪正義内野手(現役引退)
 四国IL・香川から2007年の大学生・社会人ドラフト6位で入団。2年目の2009年にファームで盗塁王と最高出塁率に輝くと、その後は1軍でもユーティリティとして活躍した。今季は1軍出場なく、9月に現役引退を表明した。通算418試合263打数62安打16打点23盗塁、打率.236。

○デービッド・ブキャナン投手(自由契約)
 2017年にフィリーズから加入。1年目から25先発し6勝13敗、防御率3.66の成績で、チーム唯一の規定投球回に達した。2018年は開幕投手も務めて28試合で10勝11敗だった。今季は故障で出遅れるなど、来日後最低の18先発、4勝に終わった。オフの保留者名簿から外れて自由契約となった。

○デーブ・ハフ投手(自由契約)
 韓国プロ野球(KBO)のLGから2018年に加入した。昨季は先発として開幕を迎えたが安定せず、途中から中継ぎに配置転換。後半戦は7ホールドを挙げるなど活躍した。今季は68試合に登板し、1勝5敗3セーブ26ホールドとブルペンを支えたが、保留者名簿から外れて自由契約となった。

○ウラディミール・バレンティン外野手(自由契約→ソフトバンク移籍)
 2011年にレッズ傘下から加入。2011、12年と2年連続で31本塁打で本塁打王を獲得すると、2013年にはプロ野球記録となる60本塁打。その後もコンスタントに30本塁打以上を記録し、2018年には131打点で打点王も獲得した。今季も33本塁打を放ったが、オフに保留者名簿から
外れて自由契約に。ソフトバンクへの加入が発表された。来季からは日本人扱いに。NPB通算1022試合3513打数959安打288本塁打763打点、打率281。

○大引啓次内野手(戦力外)
 法政大から2006年大学生・社会人ドラフト3位でオリックスに入団。1年目の2007年から126試合に出場して打率.274をマークすると、ショートのレギュラーに定着した。2013年には八木智哉投手、糸井嘉男外野手との大型トレードで日本ハムに移籍。2014年には主将も務めたが、オフに国内FA権を行使してヤクルトに移籍した。その後は徐々に出場試合数を減らし、今季は70試合で打率.202の成績だった。通算1288試合3999打数1004安打48本塁打356打点67盗塁、打率.251。

○村中恭兵投手(戦力外)
 東海大甲府から2005年の高校生ドラフト1位で入団。5年目の2010年に28試合に先発し、11勝10敗、防御率3.44の好成績で初の2桁勝利をマークした。その後はローテに定着し、2012年にも10勝をマーク。救援に配置転換された2016年は52試合に登板したが、今季は1軍登板が無かった。通算199試合46勝55敗6ホールド、防御率4.30。現在はオーストラリアのウインターリーグに参加し、ニュージーランドに本拠地を置くオークランド・トゥアタラでプレーする予定。

○岩橋慶侍投手(戦力外)
 京都産業大から2013年ドラフト4位で入団。1年目の2014年には17試合に登板し、1勝0敗1セーブ4ホールド、防御率2.57と活躍したが、左肘痛で7月に離脱。ここ2年は1軍登板が無かった。

○屋宜照悟投手(戦力外)
 JX-ENEOSから2012年ドラフト6位で日本ハムに入団。3年目の2015年に18試合に登板し、2勝0敗1ホールド、防御率3.96をマークした。2017年途中に杉浦稔大投手とのトレードでヤクルトに移籍したが、その後は3試合の登板にとどまっていた。

○沼田拓巳投手(戦力外)
 ドジャース傘下マイナー、BC群馬、石川を経て2017年のドラフト8位で入団。2018年に1試合に登板したが、今季は1軍登板が無かった。来季は沖縄初のプロ野球チーム「琉球ブルーオーシャンズ」への加入が決定している。

○山川晃司捕手(戦力外)
 福岡工大城東高から2014年のドラフト3位で入団。プロ5年間で1軍出場は無かったが、今季はファームで二刀流に挑戦。9月のイースタン巨人戦で1回を無失点に抑えると、トライアウトでも登板した。来季からはルートインBCリーグの富山に投手として入団する。(Full-Count編集部)

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