50センチ歩道、5倍に拡幅 海老名の「危険な」踏切、年度内改良完了

歩道部分が従来の5倍に拡幅した厚木第二踏切=海老名市中新田

 歩道の狭さが課題となっていた「厚木第二踏切」(海老名市中新田)の改良工事が、年度内に完了する見通しだ。片側50センチ足らずだった歩道部分を5倍に拡幅。お年寄りやベビーカーも安心して通れるよう、バリアフリーも施した。住民の要望を受け、市が事業計画に着手して8年余。既に踏切内は通行可能で、心待ちにしていた利用者の評判も上々だ。

 厚木第二踏切は、JR相模線と小田急小田原線が乗り入れる厚木駅から南に約80メートルの位置にある。

 年々増える二つの駅の乗降客に加え、周辺には集合住宅や公共施設もあり、市民らが生活道路として利用している。

 踏切は元々、歩道が極端に狭かった。全幅7メートルのうち、6メートルは車道部分で、歩道部分は両側に約50センチずつしかなかった。歩行者と自転車がすれ違うのは困難で、交通量が多い朝夕は周辺の歩道まで混雑していた。

 踏切を渡って通学する県立海老名高校2年の女子生徒(16)は「すれ違う人を避けようとして運転手にクラクションを鳴らされたり、車のドアミラーとぶつかりそうになったりした」と振り返り、自転車で別の高校に通う女子生徒(16)も「朝夕、人も車も混雑していて危険を感じ、遠回りしたこともあった」と明かす。

 こうした道路環境を改善するため、市は踏切を拡幅することを決め、2011年度から事業計画策定に着手。歩道部分を広げるための用地も買収し、総工費1億2千万円をかけ、管轄するJR東日本に工事を委託した。

 改良に伴い、踏切の全幅は1.7倍の12メートルに拡張。車道部分はそのままに、歩道部分の幅員は5倍の片側2.5メートルに広がった。またお年寄りやベビーカーがつまずかないよう、路面の凹凸もなくした。踏切内は既に工事が完了しており、利用者から「車と距離を取って安全に歩けるようになった」との声が上がる。

 後は踏切とつながる周辺の車道や歩道の工事を残すのみ。市道路整備課は「用地買収など関係者の協力で、安全確保の道筋が見えてきた」と説明。「年度内のなるべく早い時期に、完成させたい」としている。

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