試験の適正実施に限界 記述式見送ると大臣発表

 萩生田光一文部科学大臣は17日、2021年1月実施の大学入学共通テストの「記述式問題」導入について「受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点において困難」とし「記述式問題の導入は見送る」と発表した。

 萩生田大臣は「今般の大学入試改革は子どもたちが未来を切り拓くために必要な資質・能力の育成を目指して、高校教育改革、大学教育改革とともに高大接続改革の一環として取り組んでいるものであり、初等中等教育を通じて論理的な思考力や表現力を育て伸ばすことは、大変重要で、それらを評価する観点から大学入試において記述式問題が果たす役割が大きいことに変わりない」と述べ「各大学の個別選抜において記述式問題の活用に積極的に取り組んでいただきたい」と個別大学での取り組みを要請した。

 また、萩生田大臣は「私の下に設置する検討会議で共通テストや各大学の個別選抜における記述式問題の在り方など、大学入試における記述式の充実策についても検討していきたい」と語った。

 萩生田大臣は今回の導入延期決定の判断に「採点ミスをゼロにすることまで期待できず、試験の円滑かつ適正な実施には限界がある」と語ったほか、受験生の自己採点についても「採点結果との不一致を格段に改善することまでは難しく、現状では受験生が出願する大学を選択するに当たって支障になるとの課題を解決するにはなお不十分と考えた」としている。(編集担当:森高龍二)

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