シカ活用策や防災考えて 五島で体験型イベント

 長崎県五島市の玉之浦まちづくり協議会は22日、有害鳥獣対策で駆除したシカの肉や皮の活用策を考える体験型イベント「五島シカ肉祭」を開催する。大半が廃棄される現状を見直すとともに、「防災」の観点からもシカ肉に着目。安全でおいしい調理方法を住民に知らせることで、災害で物流が滞ったときでも、シカ肉を身近な“備蓄食料”の一つとして役立てることを目指す。
 発案者は、有害鳥獣やダニ感染症の対策に取り組む市地域おこし協力隊員、野澤努さん(52)。農業被害をもたらすシカは市内で年数百匹がわなで捕獲されている。一部は食肉加工されるが、多くは解体の手間を避け山中に埋められており、野澤さんは有効活用を訴える。また今夏の豪雨災害で集落が孤立する恐れがあったことから、自給自足が可能なシカ肉を活用する体制を整えておく必要を感じたという。
 五島シカ肉祭は22日午前11時~午後2時、玉之浦町公民館で開催。シカ肉の薫製作り体験や、各部位を焼き肉で味わう試食コーナー、管理栄養士が考案したレシピの味を競う「非常食料理グランプリ」などを展開する。シカ革のストラップ作り、シカや防災に関するクイズなども体験できる。
 前日の21日午後1時半には福江総合福祉保健センター(三尾野1丁目)で、野生動物や狩猟に詳しい専門家2人による講演会を開催。21日午後8時からは玉之浦町公民館と島山島の間(往復約4キロ)で、シカを探しながら歩く「ナイトウオーク」(20日午後3時までに要申し込み)を開く。問い合わせや申し込みは同協議会(電0959.87.2216)。

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