【県文書HD流出】消去証明、「ブロードリンク社じゃないと分からない」 富士通リース社長が黒岩知事に謝罪

黒岩祐治知事(右)に謝罪する富士通リースの小西秀智社長=神奈川県庁

 個人情報を含む県の行政文書を記録したハードディスク(HD)が流出した問題で、県とリース契約を結んでいた富士通リース(東京都千代田区)の小西秀智社長が18日、県庁で黒岩祐治知事に謝罪した。問題発覚の6日以降、小西社長が知事に会うのは初めて。

 面会は冒頭のみ公開され、小西社長は「県の皆さんに大変なご迷惑をお掛けしていることを心からおわびします。情報セキュリティーへの対応が不十分で、反省している」と陳謝。知事は「信頼して重大な仕事をお願いしていた」とした上で、「信じられない盗難事件に発展し、他のHDの消去証明書もまだ提出されておらず、大変憤りを覚える」と批判した。

 面会後、小西社長は記者団に「心よりおわび申し上げます」などと話し、説明責任を問われても「申し訳ありません」と述べるにとどめ、足早に県庁を後にした。

 知事は「今ごろになってという感は否めない」と苦言を呈し、証明書が未提出の理由をただしながらも明確な回答がなかったことに不快感を示した。損害賠償請求など法的措置については「検討中だが、しかるべき対応をするのは当然」との見解を改めて示した。

 この問題を巡っては、富士通リースがデータ消去を委託した情報機器会社「ブロードリンク」からHD18個が流出。県はこのうち9個を回収したが残りの行方は分かっていない。警視庁は職場からHDを盗んだとして、ブロードリンクの元社員を窃盗容疑で逮捕した。

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