IoTを使って快適な住まいを ―ユーザー版2019年秋季号より

 これからの季節は冬に向かっていくが、帰宅途中に「寒い部屋に帰るのは嫌だな」と思ったことはないだろうか。家に帰るとエアコンや床暖房がついていて、ホッとできれば、それだけで疲れも癒されるに違いない。

 そんなことを言っても、「どうやってエアコンや床暖房を遠隔操作するのか」と思っている人にお勧めしたいのが、IoT(モノのインターネット)を活用した住宅だ。

 IoTとは、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるという仕組みであり、家庭内で考えるとさまざまな家電や住宅設備機器をインターネットにつなげて連携させることをいうもの。

外出先で家電の操作が可能

 現在、多くの住宅メーカーでは、この技術を取り入れた住まいづくりを行うことで、住む人の快適性や利便性を向上させるとともに、時短や効率化に結び付けることができるのです。

 では具体的に家をIoT化した場合にどう変化するかをみてみよう。

 みなさんのなかで、朝、家を出て駅に向かう途中に、「あれっ、玄関のカギ閉めたっけ?」と不安に思ったことはないだとうか。不安になって、急いで帰ってみたら、結局、玄関のカギは閉まっていて、疲れが残るだけということも。

 そこで、最近普及しているIoT化されたカギである「スマートロック」を使ってみてはどうだろうか。

 外出先で、玄関を閉めたか不安になった場合、スマートフォンのなどの電気機器によって家の外から施錠や開錠を指示したり、重たい荷物を持って家のカギを出すのが面倒というときには、スマートフォンを持って自分の家に近づくだけで玄関を開錠してくれるという優れものだ。たとえば、子どもが、カギを持たずに外出してしまった時にどうするか。家には誰もいない。そんなときに外から玄関のカギを開錠できるのは便利といえる。

 まずは遠隔操作によって照明器具のオンオフが可能だ。

 家族が留守がちだったり、長期間にわたって家を留守にする場合、気にかかるのは防犯対策。一日中、電気のつかない状態では、空き巣などに狙われる可能性がある。そこで外出先から定期的に照明をつければ、家の中に人がいるように感じられ、防犯対策にもつながっていくことだろう。

 さらに、前述したエアコンのオンオフをはじめ、室温の設定などの機能がある場合もある。

 この機能は自宅だけではなく、離れた場所に住む高齢者が、ちゃんと冷暖房を使用しているのか確認することもできるのだ。

 そのほかにも、外出先からお風呂のお湯張りをするシステム(もちろん浴槽の栓をしていなければ、お湯はたまらない)や自宅の宅配ボックスに荷物が届くと、スマホに通知がくる機能などを活用すれば、家事の効率化や時短につながるだろう。

 以上のようにIoTを活用することで、通常の住宅よりも費用はかかるものの、その分、快適さというメリットも大きい。ぜひ、住宅の購入に際しては住宅メーカーの担当者に問い合わせてみてはいかがだろうか。

IoTの活用で家事の時短かなどが実現(画像提供=ポラスガーデンヒルズ)

V2Hシステムで災害時の停電対応

 先月、関東地方に上陸した台風15号は千葉県を中心に大規模な停電が発生。現在も住民の生活に深刻な影響を与えている。災害時に住宅は安全な場所であるにはどうしらいいのだろうか。

 そういったときに知っておきたいのが太陽光発電を使用した電気の自給自足生活だ。

 今年から国が定めた余剰電力の固定価格買取制度が終了するため、自宅に太陽光発電設置をためらう人もいるだろう。

 太陽光発電と電気自動車搭載(EV)の「蓄電池」を住宅で活用するV2Hシステムを採用すれば、災害などにおける停電時には電気自動車に貯めた電気をEV用パワーコンディショナ「V2H」によって、住宅用分電盤を通して家庭内のコンセントで電化製品を使用できるのだ。蓄電池の容量にもよるが、40㌔㍗の蓄電能力のある電気自動車の場合、家族4人で3~4日の生活が可能になるという。

 この機会に、車の電気を家庭で使う生活を検討してみてはいかがだろうか。

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