「多選自粛」廃止案が可決 大和市議会委 本会議採決へ

多選自粛条例の廃止案を可決した大和市議会総務常任委員会

 神奈川県大和市長の任期を連続3期までに努めるとした多選自粛条例を廃止する条例案が、18日に開かれた市議会12月定例会の総務常任委員会で、賛成多数で可決された。議員提案との形式に対し、「『(市長の意向を)忖度(そんたく)している』と市民から批判を受けても仕方がない」と指摘する意見も出されたが、委員長を除く委員6人のうち、4人が賛成した。条例案は定例会最終日の20日の本会議で採決される。

 委員会では、条例案を提出した町田零二氏(やまと市民クラブ)が改めて理由を説明。「現行条例は多選の弊害防止を目的にしているが、今年4月の市長選で(4選を目指した現職を)市民が選択した現状が全て。将来、市長を目指す人材が『3期12年しかできないのか』と誤解しないためにも見直す必要がある」と理解を求めた。

 高久良美氏(共産)は「市長が制定した条例であり、改廃は自身で行うべきもの。(市長に)事前に相談したのか」と質問。町田氏は大木哲市長に意向を確認したことを明らかにした上で「ノーコメントだった」と答え、「既に4期目に入り、条例は無効状態になっている。放置すれば、市政運営に悪影響も出てくると判断した」と述べた。

 小田博士氏(自民・新政クラブ)は現状について「努力規定ではあるが、無効でなく順守違反の状態」との認識を示し、「二元代表制の下、市長と議会は緊張関係を保持しなければならず、今回の議員提案は(市長の意向を)忖度していると批判されても仕方がない」と指摘した。

 委員会では、市長の出席を求める提案も出されたが、否決。井上昇副市長が「(市長の指示で)条例の検証作業を始めている。最終結論が出ていないので、審議に影響しないよう配慮し、(13日の本会議では)市長は具体的な答弁をしなかった」と補足的に説明した。

 3月定例会で可決された多選自粛条例の順守決議を求める陳情を提出した男性(70)も委員会を傍聴。「4期目のスタートから8カ月が経過したのに、市長が説明責任を果たそうとしない姿勢はおかしい」と批判した。

 ◆多選自粛条例 正式には「大和市長の在任期間に関する条例」で、2008年9月に施行。清新で活力ある市政運営を確保するため、市長職を連続して3期を超えないよう努めると定めた。地方自治法は首長の期数を限定していないため、「禁止」ではなく「自粛」としている。

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