サッカーファンの“あり方”が変わる!「ファントークン」ってなに?

サッカークラブの重要な選択に関わりたい――熱心なファンであればおそらく一度は思い描くことであるが、投票を通じてそれが可能となる「ファントークン」というものをご存知だろうか?

海外のサッカーファンにとって、現地のスタジアムで観戦することは一生の思い出であり、選手からメッセージやサインを貰うことができればさらに特別な体験となるだろう。

しかし、最近ではSNSなどを使ってファンと意見を交換する選手やチームスタッフは増えている。自分が発信したメッセージに対して選手やクラブが反応してくれれば、現地観戦とは違った形での忘れられない記憶となるはずだ。

そのような“特別な体験”をクリエイトするのが「ファントークン」だ。

ファントークンとは、キャッシュレス決済などに使われているデジタル資産の一種である。

ただしキャッシュレス決済のように、物を買ったり売ったりする機能は無い。代わりにチームごとに提案される投票への参加や、限定グッズやチケットの獲得などが可能となる。

※ファントークンについて説明された動画がこちら。日本語の字幕もついている。

ファントークンで“特別な体験”を

ファントークンのクリエイトする特別な体験の1つが、チームの歴史の一部になることだ。

世界には100年以上の歴史を持つクラブが複数存在するが、歴史のあるクラブであっても誕生当初から同じサッカー・同じ経営戦略を維持しているわけではない。時代の流れに合わせてチームロゴやチームの名称に変化を取り入れている。

イタリア王者のユヴェントスはその代表的なクラブであろう。彼らは過去に9回ロゴの変更を行っており、現在使われている10個目のロゴは、2017年に変更されている。

ここで重要なのは、チームロゴやチームの名称は「一体誰のものか?」ということだ。

権利的にはチームのものだが、ファン1人1人がロゴや名称に対して独自の感想を持っている。変更に抵抗を覚えるファンもいるだろう。チームによっては、チームロゴやチームの名称を選択制にしたり公募にしたりすることもある。

チームの将来に関わる選択に直接関わり票を投じることで、新しいロゴや名称に対する愛着も増す。子供や孫に語り継ぐこともできるだろう。こうした選択制による投票こそが、ファントークンがクリエイトする“特別な体験”だ。

またファントークンにはチャットの許可証としての機能も予定されている。ファン同士でどのロゴが良いのか、どの名称がふさわしいのか相談し合うすることも、特別な体験になるはずだ。

ユーヴェはファントークンを開始

2018年9月、ユヴェントスはファントークンを発行する『Socios.com』と提携した。

この時の発表でユヴェントスは、ユニフォームや親善試合の対戦相手を投票で決めたいという案を出している。またユヴェントスと『Socios.com』が共同で作成したCMでは、ルガーニのゴールパフォーマンスを投票で決めるという内容だった。

しかし第一回はこちらの内容になった。

ユヴェントスの本拠地アリアンツ・スタジアムでは過去8年間、ザ・フラテリスの「チェルシー・ダガー」がゴールセレブレーションソングとして使用されてきた。

しかし今回、ファントークンの投票によってこれが変更されることになったのだ(候補となる楽曲は、上記のサイトで視聴可能)。

こちらの第一回の投票は12月20日で締め切られる。締め切り間近だが興味のある方は参加してみてほしい。

投票の特徴

ファントークンの投票には、大きく2つの特徴がある。

1つ目は売らない限り次の投票で再び使用可能という点である。投票のたびに買いなおす必要がないため、最低限1枚だけ確保しておけば新しい投票テーマが発表されるたびに参加が可能だ。

2つ目の特徴が、複数枚保有していると複数票と見なされることである。ファントークンを2枚持っていれば2票分、10枚持っていれば10票分の効果がある。絶対に負けたくない投票の時には、手持ちのファントークンを増やすことも出来る。

ファントークンには仮想通貨でお馴染みのブロックチェーンの技術が活用されており、これらにはその特徴が表れているといえる。

ただしユヴェントスのファントークンの有効票は、1人あたり200枚までに制限されている。

投票の効力

ファントークンの投票には、チームが必ず投票結果に従う拘束型と結果を参考程度に留めておける非拘束型がある。

例えば来季のユニフォームデザインが拘束型の投票テーマとして出てきた場合は、得票数上位のデザインが採用されることになる。

残る非拘束型の投票は、アンケートとして使われるようになるだろう。なお第1回投票であるゴールセレブレーションソングは、拘束型の投票である。

現在までの提携チーム

2019年12月の段階で『Socios.com』は、以下の7つのチームと提携している。

ユヴェントス
パリ・サンジェルマン
アトレティコ・マドリード
ガラタサライ
ウェストハム・ユナイテッド
ASローマ
OG(eスポーツチーム)

ユヴェントス以外のチームは年明け以降にファントークンが発行される予定となっている。

ちなみにウェストハム・ユナイテッドは、Q&Aを開催して参加して欲しい選手と質問の両方を投票で決める、マッチデーハイライトに掲載する内容を投票で決めるなどのアイディアを発表している。

なお、いち早く動き始めたユヴェントスのファントークンは、スマホアプリの『Socios.com』内で既に販売が開始されている。

スマホアプリの『Socios.com』は、iOSとAndroid両方でテストリリースされた。ファントークンの購入の他に、無料でファントークンが拾えるトークンハントという機能も搭載している。

まだそれほど認知度は高くないもののこれから広がっていくことが予想されるファントークン。あなたもぜひ参加して、愛するクラブにより直接的に関わってみてはいかがだろうか。

画像ソース:『Socios.com』HPより

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