【やまぐち深発見紀行】 No.173「仁保・明治期の仁保駐在所と巡査の働きぶり」

 警察顧問ウィルヘルム・ヘーンは、1887(明治20)年7月31日、仁保駐在所を巡察。その復命書から当時の様子がうかがえる

 プロシア(現ドイツ)警察大尉ウィルヘルム・ヘーンは、内務省が招へいした最初の外国人警察顧問だ。85(明治18)年に来日し、当時の内務卿・山県有朋の提唱で東京に創設された、警官練習所の教師となった。

 ヘーン大尉は、在職中、日本全国36府県の警察を巡察して復命書を上申。87(明治20)年7月31日に、仁保駐在所に訪れた記録も残っている。

 それによると、仁保駐在所巡査は3カ村4330人の人口を有する仁保連合町村を一人で巡回していた。また、戸長(行政区長)の近くに借家し、住居兼執務室に充てたなど、その働きぶりは、他県と比較しながら高く評価されている。

 翌88(明治21)年、政府は上申を採用して「警察官吏配置及勤務概則」を制定した。

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